デカン

デカン 最近、友人推薦の「ALFA」で、シングルモルトのウィスキーに凝っている。ここのウィスキーはマスター直々の仕入れのものなど、他では飲めない銘柄がずらりと並んでいる。今まで家で飲んでいたのはシーバスリーガルの12年物なのだけれど、それですらいがらっぽい雑味にしか感じなくなるくらいに、ALFAの酒は旨い。

 そういうわけで、大変お酒に強くなった。世間的には、良いことだといえる。だんだんと、格好をつけずに酒を飲めるようになってきた、ということなのかもしれない。

 酔ったときに考えることはたいてい一途で、ときには狂気じみたものにすらなる。妥当な思考、すなわち相対性というものいっさいが消え去り、願望であったりいたずらな卑下であったりする。あるいはその二つがめまぐるしく入り乱れる。
 どちらにしろ、現在というのっぺりした時間を覆い隠すように、あでやかな彩りを与えてくれる場合が多い。一種の逃避行動ではあるが、それがゆえに人は酒を飲むのだろう。「全く酔わなくてねぇ」などという人は、見栄っぱりかつまらない人間だったりする。

 最近、困ったことに少々の量では酔わない。昔ならウィスキーの3杯も飲めばほろ酔いで阿呆なことが脳裏をよぎりはじめたものなのだけれども、近頃は素面でその程度の杯をくいっと干してしまう。幸か不幸か金がないので3杯で帰る。途端に、自分がなにを見ているのか、わからなくなる。
 もちろん、現実はよく見える。
 だけれども、「酒を飲んで見るべきもの、夢むべきこと」が、浮かんでこない。

 どちらかといえば、そのようなときに感じるのは茫漠である。おそらく、普段の僕もそうなのだろう。毎日挨拶をしては通り過ぎる、現実って奴とは、まあまあうまく折り合いをつけてやっていけている。だけれども、そこに明日が見えなくなっている。字義通りの「明日、来年」しか見えない眼鏡を、いつの間にかかけるようになったことに気づく。
 それは悪くない。悪くはない。
 だけれども、僕の目の前に広がるのは、茫洋としてとらえどころのない平原だけだ。

 「ロジオン・ロマーヌイチ、今となってはどっちでも同じことです。」

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