チュンポン散考

チュンポン散考今日ミャンマーに行ったからなおさらそう思うのだけど、東南アジアは本当に華人が経済を牛耳っている。「金行」と看板の立つ宝飾店を中心にして広がるチャイナタウン(どんな田舎町にもある。そこに経済が存在するかぎり)、携帯でまくしたてる高級外車の親父にいいもん食って小太りになった育ちの良さそうなガキ。そういう階級が存在する限り、現地人と彼らを分かつ厳然とした「格差」が存在し続け、それは日本から来た僕が見ても、ちょっと憂鬱な光景だ。まあその日をたくましく生きぬいている地元の人たちにすりゃ、勝手な感想なのかもしれないけれど。
今、日本でも中国資本による中小企業の買収が取り沙汰されるようになっているが、そのうち金融資本にまでチャイナ・マネーの手が伸びることはあるんだろうか。それに加えて人の往来や居住が今より自由化されたなら、日本だって華僑経済が隠然たる力を持つ国に変わることがありうるのかもしれない。もちろん東南アジア諸国と日本では民族資本の蓄積度が違いすぎるしそう簡単に御伽噺が成立するわけでもないのだろうけれど、東南アジアの街を歩くと、そんな空想が脳裏に去来する。

で、さらに街を歩くと、そこら中の店のドアに「AEON」のステッカーが貼ってある。おそらく日本の巨大流通グループであるイオンの「イオンカード」使えます、ってことなんだろう。今回はじめて目にとまったということは、イオンカードの進出はここ最近のことに違いない。しかもバンコクなどではなく、南部タイのラノーンやチュンポンという田舎都市でだ。そんな店で何を扱っているかというと、これがべらぼうに携帯電話ショップが多い。世界を支配するのはサラ金と携帯電話なんて、結構笑えない未来だ。

チュンポンはシーフードが有名で、夜になると通りの両側に屋台が軒を連ねる。そのうちの何軒かで、ムール貝と生野菜、それに卵をあわせてカリカリのお好み焼き風にしたものを売っており、これがチュンポン名物らしい。食べてみたが、美味い。クリスピーな食感と貝の旨みが一体となり、大変日本人好み。たった20バーツ。
一息ついて屋台を見ると、ほぼ例外なく女性が店を切り盛りしている。たまに亭主らしい男が横について、知り合いとお喋りしたり細君にどやされて料理を運んだりしている。その姿を見るにつけ、男の幸せって器量良しの働き者の女と結婚することなのかもなあ、とぼんやり考える。明らかに流行っている屋台とそうでないのがあり、違いはどうも屋台の女主人にあるみたいなのだ。
そのうちの一軒で、粘りのある小麦粉生地を薄く叩いて伸ばし、その中にバナナや卵を包んで焼くクレープ風のロティという菓子を出す屋台がある。遠目からもまめに立ち回る美貌が見える女性が、やっぱり働いていて、一つ買おうと近寄ったところ、珍しく真剣に働いている亭主も一緒だった。

その男は、西洋人だった。

僕は15バーツでロティを買いながら、客の流れを眺め、「1日150個は売れるな。単価10バーツとして、月の売上が35,000バーツはあるだろう。食べ物商売は粗利3割というから、手取りにしても15,000バーツはある。それで何とか夫婦で食べていけるかな」と計算をかちゃかちゃし、それって、僕はひょっとして、もっと世界中に多くの選択肢を持っているんじゃなかろうか、と阿呆なことを夢見る。そこでよしておけばよいものを、「ついでに副業でネットカフェでもやって、近隣リゾートにバイトを置いて、ネットホテル予約サービスをしたら」とくぅだらないビジネスプランを考えはじめてしまう。こんなことを考えているうちはまあ実現不可能だな、と思う南国の夜。

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チュンポン散考 への3件のフィードバック

  1. 裸の王様 のコメント:

     地図を片手に旅日記をうらやましく楽しんでます。いいなー。

  2. Joh のコメント:

    いやー、人生は死ぬまでどれだけ楽しく生きられるかだよ。愛した人と一緒に毎日楽しく生きていく。お金だけじゃないさ、生きてければ良いのさ。

  3. もりしま@タオ島 のコメント:

    こんにちは。今はダイバーあこがれの地、タオ島です。ダイビングをしないので、スノーケリングで潜るだけですけれど。

    > 地図を片手に旅日記をうらやましく楽しんでます。いいなー。

    わりに面白いルートでマレー半島の一番細いところを横断しました。明日は午後に島を発ち、夜行列車でバンコクです。異国の夜汽車というのも、これはこれで風情があり、なかなか。

    > いやー、人生は死ぬまでどれだけ楽しく生きられるかだよ。

    まあ、そうなんですけどね。
    今も今で、なんだかんだと楽しいもんなあ。
    この楽しみと安定を留保したまま、2年か3年旅に出る方策って、どこかに転がっていないもんでしょうか。。。

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