好き好き大好き超愛してる。
★★★★★
舞城 王太郎 (著) 講談社
「愛とは祈り」と、大上段に振りかぶったテーマで描く表題作。死の床につき、そして死んだ恋人への想い、恋人との思い出、それをSF仕立ての寓話を挟みながら描く。この寓話がいい。恋情なんて簡単に言語化できるものではない、ってことを、非現実的なSF描写が物語っている。
個人的にはこの本に収録されている「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」もかなり好み。世界のパラレルさを、破綻せずにうまく描いている。パラレルワールドでは「主人公とは別人」だけれども「同感覚を持つ」パラレル主人公が世界を救う少年となっている、という設定であり、そのスピード感にやられました。