ネット・ポリティクスの罠

ネット・ポリティクスの罠「世に倦む日日」さんの『憲法問題も重要な争点である - 9条の会は何をやっているのか』に、日本のネット・ポリティクスを喝破した一文がある。

今はブログが主戦場である。これを見よ。人気ブログランキングが現在のネット世論の主戦場であり、そしてここも右翼が見事に制圧している。右翼の素早い動きには感嘆させられる。戦略戦術の決定が早く機動的だ。こうしたネットの現実を見ると、迸る右翼のエネルギーを感じるし、熱がある。熱は人を動かす。どれほど錯誤した主張でも、無知で野蛮な議論でも、熱と数の力で政治は動かせる。既成事実を作ることはできる。政治は数である。

まさにそのとおりだろう。ネット上でのいわゆる似非ナショナリズムの奔流といえばやっぱり「嫌韓流」騒ぎで、ほんとうにネット書店の売上1位になりリアル書店でも品切れ続出になった。いわゆるコンプレックス愛国主義がネット上で爆発してしまった事例だろう。で、この流れは逆にリベラル派のウェブサイトでは止めることが難しいのだ。つまりはそれこそ「熱と数の力」なかんずく熱気は、冷静な議論で止めにくいのだ。
個人的には、この歯止めの利かないある種の熱狂的な国民性と、即効波及というネットの特質が結びついたときに、ネット上でこそ日本のリベラルは死んでしまうのかもしれないと危惧する。おまけに人口が減って長期的に経済停滞期に入ったことが明確な昨今、それに起因する強迫観念的な排外主義的なナショナリズムを押しとどめることは出来るのだろうか。ちょっと暗い気分にならざるをえない。

ちなみに「嫌韓論」は立ち読みした。まともな読書力と歴史認識があれば、ちょっと読むに耐えない一冊だった。
漫画というデフォルメ・メディアで感情を煽るデマゴギー手法は小林よしのり以来の常套手段として定着したきらいがあるが、これは漫画によってデフォルメされた扇情が、ただただネットという熱狂の渦の中で醸成されていくという世論形成スパイラルが日常風景となっていくことにほかならない。

もっと理解しがたいのは、この昨今の風潮=排外的愛国主義と熱狂的ファシズムに近い状態、が国益に結びつくとどうやら本気で思っている自称保守層だ。誰か僕にわかりやすく教えて欲しいのだけれども、いったい主観的な排外主義が、自由グローバリズムの現状でどう国益に対して有効にはたらくというのだ。
古めかしい言い方をすれば日本は所詮重商主義国家であり、たとえどれだけ卑屈になってもシャイロック然として金を稼いで島国に貯め込み、贅沢を享受することが国益ではないのか。いつ暴落するか分からないドルを支えアメリカの世界戦略の一翼を担いイスラムなどの異文化から恨みを買い、ついでに中韓と国民レベルで感情的な相互対立を起こす重商主義国家が果たして存在しうるのか。

彼らはナショナリストと云いながら、国益が何なのかを戦略的に考えることすらも放棄しているようにしかみえない。人道的とか左翼的見地とかいう以前に、僕は僕の豊かな生活を守りたいコンサバティブでいたいもんだ。

■参考
「ウヨク」と「サヨク」:ネットでの勝敗(一粒のぶどう ブログ)

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ネット・ポリティクスの罠 への3件のフィードバック

  1. はは。 のコメント:

    「世に倦む日々」さんのところから来ました。
    うーむ、なんつーか、あそこの論理を見て、困ったなあ、と。
    だって、今世にある右翼のブログなんて、ほとんどが「お仕事」でしょ。
    それを「ブログが主戦場」と言っちゃうと、彼らが本当に普通の民草みたいに見えちゃう。
    「リベラル」のブログがランキングに少ないのは、「お仕事」には太刀打ちできないからですよ。更新頻度も、動員力も。

    電○が絡んでると言われてますね。あと統○教会も。
    自分としては、更新頻度が少なくてもそれなりに真面目に書いてる素人さんのところを選んでますけど、いかがわしい世の中になったもんですなぁ。

  2. asatosen のコメント:

    トラックバックありがとうございます。「嫌韓流」が売れてしまうこの空しきご時世、お互いにがんばりましょう!

  3. 金英男 のコメント:

    真面目に「世に倦む日々」隅から隅まで読めとは言いませんが電波なのは「世に倦む日々」のほうだと思いますよ。読解力ないのですか?イスラムの石投げ刑を賛美したりしてますしおまけに日本人じゃないですよ。

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