南国の寿次第-10:ウォーレス線の向こう 2008/12/27

南国の寿次第-10:ウォーレス線の向こう 2008/12/27朝起きると、こぢんまりとした庭が気持ちよいホテルである。デンパサール空港から車で5分のところにあるとは思えない落ち着き具合。軽く食事をとり、ホテルの送迎車で空港まで。

今日乗るのは「TRIGANA AIR(トリガナエアー)」という、聞いたこともないエアラインのフライト。向かうのはロンボク島。

ロンボク島へ向かうにあたり、飛行機の手配やホテルについては、すべて「ランガウィサタツアー」さんにお願いした。ロンボク島のホテルやら航空券やらがまとめて手配できるのは便利なかぎり。日本人女性の経営で、そのあたりの信頼感もある。昨日泊まったThe Alitの前泊と往復航空券のパッケージで一人118$。
インドネシアの国内航空というとメルパティしか知らなかったのだけれど、メルパティはディレイが多いということで、こちらの旅行会社に勧められたのがくだんのトリガナエアー。小さなプロペラ機で、室内も狭い。まるでバスのような室内だ。それでも軽食がきちんと供され、プロペラの音を響かせながら、ジェット機より低い高度のため、バリとロンボクの山、そして間にあるロンボク海峡を眺めながら、離陸後30分と少々で、あっさりとマタラム空港に到着。
バリとロンボクはことほど近い位置にあるけれど、この二つの島は流れの速いロンボク海峡に隔てられているせいもあり、生態系がまったく違う(ウォーレス線)のだそうだ。確かに、山を見てもうっそうとしたバリの深い緑にくらべ、ロンボクはどことなく乾いたイメージがある。マタラム空港はほんとうに小さな空港で、敷地の向こうにイスラムモスクが見えるのが、何ともいえぬ味わいをかもし出している。

空港のゲートで旅行会社の人から、これから泊まるホテルのバウチャーを受け取り、後は自力でギリ・トラワンガンという小島に向かうことになる。どうせなら送迎までお願いしてしまえば楽なもんだけれども、そこは自力で汗をかく余地、という楽しみも残しておきたいのが旅人根性というものだ。
空港から島に渡るボートが出るバンサル港まで、タクシーで120,000Rp.(=¥1,100)。ずいぶん高い、と思い始めたのは、インドネシアの物価に慣れ親しんできたせいだろうか。港までは小一時間はかかるので、妥当なところではある。タクシー料金はすべてカウンターでのプリペイドなので、楽ちん。
タクシーとはいえボロなセダンに乗り、山道を越え、材木を積んだ大きなトラックや、鈴なりに人がぶら下がるベモ(乗り合いミニバン)が車窓に見える。そんなベモを見て、もうここでは公共交通はさすがに使えないな、と感じるわたくしたち。道は次第に平坦に変わり、バンサルに到着。

さて、バンサルである。

今回地球の歩き方に加えてLonely Planetの日本語版も持っていったのだけれども、このロンプラに「悪名高い客引き」とわざわざ書かれているのがここバンサル。だいたいロンプラが注意をうながす場所は、ほんとうに注意が必要で、実際バンサル港まではきれいな道があるにもかかわらずバスやタクシーは1kmほど手前の駐車場までしか乗せてくれない。乗せてくれないというより乗り入れができない、と述べるのが正しく、まずここで、手ぐすねをひいて待ち構えているのがチドモ乗りの連中だ。最初の言い値は50,000Rp.(=¥450)。3分揺れるのにこの値段は、現地はもとより先進国の感覚でも高い。まず断り、バックパックを背負い歩き出してみたり、そんなこんなでようやく20,000Rp.(=¥180)に下がる。もちろん、二人分の料金だということを、くどいほど念押ししておく必要があるわけだ。
ようやく港まで運んでくれるか、と思えば、あと一歩手前のところで馬車は歩みを止める。目の前の商店でボートのチケットを買え、というわけだ。公営のチケット売り場がある、とガイドブックに書いてあるのに加え、ここの店員は往復チケットしか売ろうとしない。個人的な経験から言えば胡散臭さ満載である。要らないからさっさと港まで送れ、と言うも、ここ以外ではチケットは買えない、お前たちは船に乗れない、と繰り返すのみ。業を煮やして妻にここで待つように伝え、独りですたすた港まで歩くと、浜辺には立派な待合室があり、そこにはチケット窓口がある。妻が待つ場所に引き返し、チドモ乗りに代金を渡し、何やら叫ぶ客引きを後に、二人でバックパックを今回の旅で初めてまともに背負い、待合室にたどり着く。ここで買ったチケットは20,000Rp.(=¥180)。客引きが買わせようとしたチケットよりは、多少安かった。やれやれ。

島へ向かうボートは、タイに良くあるロングテールボートを一回り大きくしたような感じで、両舷に虫の腕が張り出したような、金属のスタビライザーがついている。船は本島側でも小島側でも埠頭などというものはなく、砂浜に直接横付けされる。足を濡らしながら20人ほどが乗り込み、良く晴れたロンボク海峡をギリ・トラワンガンまで。

ギリ・トラワンガンの海はとても澄んでいる。タイの島よりも透明度が高い。島に上陸し、交通手段が歩くかチドモか、しかないので、そばにいたチドモと交渉し、5分ほどの道のりを港から南、宿泊先の「Vila Ombak(ヴィラ・オンバック)」へ。その後ヴィラ棟ができたりしたらしいけど、当時はふつうの部屋が一番グレードが高かった。一泊135$。リゾート地やそこそこのホテルは、どこも為替変動の激しいルピアを嫌い、ドル建ての価格設定になっている。
室内は広々としており、窓辺には足を伸ばしてくつろげるソファスペースがついている。トイレとシャワーは半オープンエアになっており、こちらも部屋なみに広々としている。広々としているけれどトイレに間仕切りがないので、狭いところに慣れた日本人には、贅沢すぎて落ち着けないトイレットだ。

少し散歩でも、と思うまもなく、土砂降りのスコールがやってくる。とりあえずホテルのレストランで、ここご自慢の石窯で焼いたピザを昼食代わりに食べた。ピザはこんな田舎にしては、じゅうぶんな旨さ。シーザーサラダとドリンクを頼んで、ぜんぶで380,000Rp.(=¥3,300)。さすがにいい値段だ。家族と別れてから食べた、もっとも値の張る料理となる。
雨は降り止まないので、部屋にこもって読書の時間。妻の寝息を聞きながら、旅に持参した「司馬遼太郎:坂の上の雲」を読む。全8巻もあるので、読み終わるごとにそこら中のホテルに置いてきており、ちょうど真ん中ぐらいまで読了。後は「ドストエフスキー:カラマーゾフの兄弟」などもバッグに入っていたけれど、新婚旅行にはあまりにもそぐわぬ重い内容で、半月にもわたる旅行中、結局1ページも開くことはなかった。

夕食の頃には雨もやんだけれど、道には雨水がたまり、ほとんど水路を歩いているような感じだ。場所によっては膝近くまで泥水に濡れることになる。しばらく洗濯もしていなかったので、大量の汚れ物を抱え、港近くにある洗濯屋まで転ばないように進む。
少し裏通りに入った洗濯屋は、薄暗い中ランプ一つの灯りをぼわっと照らして営業中で、ずいぶん現代離れした光景に見える。お札を数えるにも難渋する暗さの中料金を支払うと、明日にはできあがるとのこと。ざっと75,000Rp.(=¥65o)。ホテルに比べれば相当安いが、後日バリのウブドで出したときにはこれ以上の量で半額以下だった。リゾート地、くわえて真水が少ない場所なので、致し方ない。ホテルのシャワーも海水を濾過したもので、真水は仕上げ用に瓶が用意してあるようなところなのだ。離島だけあって飲み水も高く、500mlのドリンキング・ウォーターが1本3,000Rp.(=¥25)。バリやジャワに比べると、2倍から3倍だ。

ディナーは海岸沿いにある「Beach House Restaurant」にて。シーフードをずらりと並べた、似たような店がたくさん軒を連ねているので、比較的魚の種類が多く、比較的客の入りが良い店を選ぶ。滞在中、何軒かの店に入ったけれど、どこも似たような値段と味だ。注文したのはツナ、エビ、イカ、それに酒の肴にスモークサーモン、そしてビンタンビール。しめて380,000Rp.。昼食と同じ値段。一番立派なのは大きなニシキエビだが、こればかりは量り売りになっており、1匹で5,000円はくだらない。伊勢エビのようなつくりだとすると、意外に食べるところは少ないのではないかと思われるので、結局食べることなしに終わった。

デンパサールからマタラムまで乗ったトリガナエアーの小さなプロペラ機。 マタラムの空港。のんびりした田舎の滑走路。 空港から港へ向かう山道。乗り合いのベモは人が鈴なり。 港からギリ・トラワンガンまではボートで30分ほど。 ギリ・トラワンガンはきれいな珊瑚礁に囲まれたロンボク海峡の小島。 島には舗装された道路がなく、雨が降ると水浸し。自動車もバイクもなく、交通はもっぱらチドモと呼ばれる馬車のみ。 海沿いの道路には、夜になるとシーフードが揃った店が並ぶ。 ギリ・トラワンガンで5泊したのは、当時島一番のホテルだった「VILA OMBAK」。僕らの訪問後、きれいなヴィラが増設されたとのこと。

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