亜細亜へめぐり紀行12

亜細亜へめぐり紀行121月14日

ゆうべは部屋に蚊が出るのに参りながら、蚊取線香を焚き、蚊帳を釣って寝た。それでも朝起きると何カ所か蚊に刺されたかゆみが残っている。どうやら、網戸が破れていたみたいだ。
昨日頼んでおいたスリウィーラーにて、シーギリヤロックに向けて出発する。まだ午前9時で、朝風が涼しい時間のドライブは心地よい。

と、車はガソリンスタンドに立ち寄る。ドライバーが「ガソリン代がない」と言うので、料金の半額ほどを前払いしてやる。こういうのは別に他の国でも珍しくなくて、彼らはキャッシュフローギリギリでやっているんだな、と思う。
ドライブを再開してすぐに、またドライバーが僕のほうを向き、「友達の家のそばを通るから、ちょっとだけお喋りさせてくれ」と。このあたりの公私の境目があんまりないのも、アジアではある。

シーギリヤロックに到着、そびえ立つ岩山に感嘆しながら、その岩肌に張りつくようにして上を目指す。この岩山には有名なフレスコ画が描かれた場所があるのだけれど、そこまでは長蛇の列だ。スリランカの観光地に来て、初めて経験する行列になる。
美しいシーギリヤレディのフレスコ画を存分に堪能して、さらに、岩山の頂上まで。
途中崖にへばりつくような階段を汗かきながら、全方位にスリランカの森林が広がる頂上に到着。周囲を見回すと、強い風が吹く中、絶景のスリランカが眼下に一望の下。まさにスリランカのハイライトだ。
下山して、再度シーギリヤロックを見上げる。あの上まで登ったかと思うと、感無量だ。

さて、これからは一度ダンブッラに戻り、バスでキャンディへ向かうことにする。
ガイドブックやスリランカ鉄道の時刻表を見ると、キャンディへの途中にあるマータレーという街からキャンディへローカル線が走っている。時間的には、うまくいけばバスではなく列車に乗れる可能性がある。
と、ドライバーに「追加で支払ってやるから、マータレーまで飛ばせるか?」と交渉してみると、あっさり成立。一度ホテルに戻り、バックパックと生乾きの洗濯物を取り、スリウィーラーを飛ばす。
ローカル列車に乗れるなら、財布のヒモもゆるむというものだ。

とはいえしょせんオート三輪なので、スピードには限界がある。時速と距離を考えると、列車に乗れるかどうかはギリギリの、マータレー行きドライブ。
ひとりハラハラしながら、すんでのところで列車の出発時刻には間に合わなかった。いたしかたない。
それはそれとして、降りる段になってから「確か2,000ルピーって言ったよね?」と言い出すドライバー。ただでさえ鉄道に乗れずささくれ立っているので、元々の言い値の1,500ルピーちょうどを叩きつけて別れる。やれやれ。

鉄道駅から歩いてバスターミナルに向かうと、運良くエアコン付きのマイクロバスがあったので、それに乗る。バックパックを見た車掌が、荷物は一人分の値段がいる、と言う。
それがルールなら払うけれど、どんどん人が乗り込んできて、けっこうなすし詰め状態。ちなみにキャンディまでの運賃は日本円で45円。荷物賃まで取られると、10人分払うから前半分ゆっくりと占領させてほしいもんだと思う。

バスは快適に飛ばし、まだ明るい16時には、仏教の聖地キャンディに到着。
地球の歩き方でもTripadvisorでも評判の良い、目当てにしていたゲストハウスには歩いて15分ほど。1泊3,000ルピー=2,100円と、相変わらずゲストハウスにしては良い値段だけれども、室内は清潔で、朝食も付いているとのことなので、荷をほどくことにする。

さて、今晩はこの地の名物キャンディアンダンスを見る。この宿で無事M君とも合流できたので、ぷらぷらと歩きながらダンスホールへ。
キャンディアンダンスはなかなか勇壮な踊りで、リズムや所作は、インドシナ舞踊とはずいぶんと異なり、新鮮なものがある。ダンスだけでなく火渡りの儀式なども見ることができた。
それから、仏陀の歯が祀られているという仏歯寺に参拝、そして夕食。盛りだくさんの一日になった。

1月15日

ホームメイドのママレードに、搾りたてのフレッシュジュースという、スリランカとは思えない朝食にありつけた。
ここ「Sevana Guesthouse」は、スリランカにしては珍しく、ゲストハウス的な気が利いた女主人がマネージしていて、久しぶりにいい宿に泊まったなあ、という気になる。

宿にほど近い駅まで出向き、明後日のコロンボ行きのチケットを予約する。けっこう混み合うと聞いてはいたけれど、無事コロンボまで一等の展望車が手に入った。
帰りがけ、近所のヒンドゥー寺院でやっているお祭りに参加し、聖水をかけてもらう。あまりヒンドゥーという雰囲気はないスリランカだけれども、寺院はそこかしこにあるようだ。

キャンディの市街中心には市場があり、大量の土産物が売っている。南国らしく、スパイスやフルーツ、それにマッサージクリームに民芸品。
今日でキャンディを発つM君の買い物に付き合い、いくつかの店を冷やかして歩く。やっぱりマーケットだけあって、専門店で買うよりはずいぶん安くあがりそうだ。

M君をバスターミナルで見送り、それから宿でぼんやりとネットサーフィンをしていたら、もう夕方。風が涼しくなってきた。ここキャンディは高原地帯にある都市なので、この時間からはすこし冷える。
夕暮れの散歩で、郊外の小高い山にある大仏様へ参拝。夜道は真っ暗になるので、日が暮れる前に降りる。野良犬が、まるで人のように、そこらへんの道端で小便していた。棒以外にも小便をひっかける犬を、なぜかスリランカではよく見かける。

夕食は目抜き通りにある小ぎれいなレストランで、デビルドビーフというその名も辛そうなひと皿を食べたが、名前ほどでもなく、ちょっとピリ辛な酢豚みたいな味だった。
それより空心菜の方が辛い。大量の唐辛子が入っている。
この旅路では、いろいろな国で空心菜を食べ続けていたけれど、やっぱりタイの味つけが一番口に合う、と思った。

1月16日

今日は宿に常駐しているスリウィーラーを手配し、朝イチからキャンディ郊外観光に出かける。
まず向かったのは象の孤児院。ここは親をなくした子象を育てていることで世界的に有名な場所だそうだ。

孤児院では子象にミルクをあげるショータイムがある。子象、可愛いな!必死になって、飼育員が差し出すほ乳瓶から、ミルクをごくごくと飲んでいる。
そばには大きな川が流れており、象の水浴びも見ることができる。孤児院から、土産物屋がならぶ普通の道を、象さんの群れが一列になって歩いてくるという、他ではなかなか見られない光景だ。
象の水浴び、といっても別に鼻から水を噴き上げたりするようなパフォーマンスがあるわけではなく、淡々と川に入っていくのを見物するだけだ。とはいえ、数十匹の象が戯れているのは、壮観である。
ここでもやっぱり子象が愛らしくて、大人の象に遅れまじと、とことこと早歩きで追いかけていくのが、何ともいえない。

おそらくバックマージンが入るのだろうと思うけれど、ドライバーが連れて行きたがるので、途上にあるスパイスガーデンに立ち寄る。
値段次第では買ってもいいかな、と思ってはいたけれど、白檀のオイルが一番小さいもので1,500円。昨日市内のマーケットでは、200円で売っていた。バニラビーンズも馬鹿高い。マーケットの10倍の値札がついている。
結局何も買わずに出てきたけれど、バニラティーをご馳走になって、プチ農園をタダで案内してもらえたので、ぜひ誰か別の観光客から儲けてほしいものである。

小さな寺院に寄ってから、次はティーファクトリーに。スリランカの高原地帯は有名なセイロンティーの産地なので、今度は逆に高級品が欲しかったのだが、残念なことに手ごろな値段の紅茶しか売っていない。
これなら街中でいくらでも買えるな、という感じ。観光客向けの商売は難しいものなのかもしれない。

最後の目的地は、スリランカ一の規模を誇る植物園。
なかなかフレンドリーで親切なドライバーだったけれど、着いたとたんに、お前はバスで帰れるか?と聞いて、帰れると答えたら、じゃ!と、ホッとした顔で一足先に帰っていった。
日本人の感覚からするとユルい商売だなと思うが、往復60kmを走って2000円の支払いなので、それくらいは許容範囲なのかもしれない。

植物園はなかなか見ごたえがあり、観光客や家族連れのみならず、格好のデートスポットにもなっているようす。スリランカ人のカップルが逢瀬をそこらで楽しんでいる。膝枕だけでなく、木陰では熱く抱擁しあっている若い男女もいる。この国でこういうシーンを目撃するとは、思いもよらなかった。

帰りのバスは、市内まで10円弱。渋滞のなかウトウトしていたら、いつの間にかバスターミナルに着いていた。
宿に戻り、夕方までお昼寝。気づいたらもう真っ暗で、昼寝にしてはいささか長かったようだ。

ホテルの階下からもいい匂いが漂ってきたので、ここで夕食にしてもいいかと思ったが、ガイドブックに旨そうなインド料理屋が載っていたので、そこまで出向くことにする。
街を歩いていて目につくのは、薬屋の多さ。どこもけっこう繁盛している。スリランカでは、病院に行かない、あるいは行けない人が多いのかもしれない。

わざわざ出向いただけあって、インドカレーもうまかった。勘定が935ルピーなので、650円くらい。1035ルピーを出したら、なぜか200ルピー返ってきた。インドカレーの店だけれども、スリランカ人の計算能力はインド以下だった。
夜道を宿へ戻りながら、スリランカは夜が早いな、と思う。10時を回ったら町はもう暗いのだ。
東南アジアのような喧騒は一切なくなり、犬の遠吠えだけが聴こえてくる。キャンディの夜は、日本の初秋くらいに涼しい。

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