このサイトにはGoogle AdSenseを埋め込んでいるのだけれども、この間ようやく100ドルを超えて小切手が送られてきた。・・・Citibankの米ドル小切手を換金するのは面倒くさいしかなり費用がかかる。という話はマクラで、本題はアフィリエイト収益と、コンテンツの方向性の関連について。
過去のサイトログを全てとってあるので、Googleが提供する日別の広告クリック数レポートと照らし合わせてみることが可能だ。たぶんPVが高ければクリック数も多いんだろうな、と重い、Googleレポートでクリック数が多い日の過去ログを見てみた。一番クリック数が多く、かつ収益が高かった日はやっぱりPVもかなり多い日。
で、最近はてなブックマークに『ブクマ』されてPVがぽんと伸びた日があったことを思い出し、さぞこの日も儲かったかなうはははは、とにやつきながらGoogleのレポートを見てみたら、なんとその日のクリックカウントはゼロ。
これには有意に傾向があるんじゃないか。
でさらに、以前一番儲かった日はどのページが見られていたのかをドリルダウンしてみた。すると、パティスリーの紹介とライブドア事件のエントリがPVを稼いでいることがわかった。
ここから推論はイヤな方向に進む。このサイトのユーザ属性まではさすがにわからないけれど、リファラくらいは調べてみての僕の仮定はこんな感じ。
・儲かる記事とは・・・注目のトピックや口コミなどを取り上げてみる。
・儲かるサイト導線とは・・・サーチエンジン経由、ちなみに圧倒的にYahoo! Japanでした。
・儲からない記事とは・・・硬くて専門性の高い論評を書いてみる
・儲からないサイト導線とは・・・はてなブックマーク経由。Yahoo!と並べてみると、属性の違いもなんとなく分かる気がします。
巷では、「ブログを書いてアフィリエイト貼り付けて小金を儲けよう!」みたいな話があふれているんだけれども、そのための手段としては、たぶん質の高いエントリを書くかどうかよりも、ターゲティングやSEOといったマーケティング能力の方がより重要なのかもしれない。マーケティングのないところにマネタイズなし。当たり前の話だけれども。
ものすごい暴論になってしまうが、とすればアフィリエイトで稼ぐためにはしっかりとしたエントリを書こう!と意気込むよりも、クリックにホイホイ釣られてくれる、ネットリテラシーの低いユーザを想定した記事、ならびにそういう層が一定以上いそうなサイトからの流入が期待できる導線を貼ること、が大事。ということになる。少なくとも、「ネット上で情報収集することに長けていて、記事をちゃんと読んでソーシャルブックマークしてくれるような人に注目されるよりはお金になるかも」くらいはいえそうだ。
そして爆発的に増殖するブロガーの多くが、モチベーションとして「アフィリエイトでの収入」を持っているとすると、ブログ全体の方向性は、どうでもいいことについてのどうでもいいエントリを粗製濫造する向きに進むだろう。リテラシーが高い層に評価されるより、馬鹿に見つけてもらって紛らわしい広告表示レイアウトの罠を仕掛けておく方が、少なくとも儲かることは儲かるのだ。
余談だけれども、で、たまにVIPブログ炎上みたいな事件が起こったりもする。あれ、要するに儲けるためには手段を選ばなかったブロガー連と、儲けることを夢見ている(けれど儲けられない人たち)がガチンコで不毛な争いをした結果でしょ。お金の臭いは人を突き動かします。
【仮説】
個人ブロガーがブログを書く。
↓
質の高いエントリがPVを呼ぶ。
↓
アフィリエイト広告で儲かる
↓
さらに良質のエントリを書く。
↓
CGMの成功!
みたいな図式が、実のところ
【悲しい推論】
アフィリエイト狙いの大勢が、ウケそうなネタを粗製濫造。
↓
ネタ狙いかつSEOに忙しいから、記事をちゃんと書く時間なんてあんまりない。
↓
それでもリテラシーの低い層がクリックしてくれてちゃりんちゃりん小銭が入る。
↓
世の中どうでもいいコンテンツが溢れる。
↓
「悪貨は良貨を駆逐する」を実証。いやぁ、テクノロジーが進歩しても格言は普遍でした。
だったりするんではないか。アフィリエイトが経済構造になっているWeb 2.0ではどうにもこうにも立ちゆかない、ということだ。以前から僕は「良い意見やそれを書く人」をどうすくい上げるかが大事、と思っていたけれど、上記を理由に、アフィリエイト以外に金銭的インセンティブを与えられる仕組みを作らないと、おそらくCGMなんて夢物語に終わる。すごく当たり前な話に、ようやく僕のおつむも追いついた。
具体的な企業名を出して未来予想をすると、今のアフィリエイト・スキームが継続するならば、いち早く「大衆化」したサイトが勝つ。Yahoo!であったり、mixiであったり。
大衆化と言えばちょっと差別的な表現に聞こえるけれど、格好良くいえば高度消費社会の一員として、ネットが「第五のメディア」として参入させてもらえるということだ。
逆に新しい報酬スキームがもし産まれるとするならば、アルファブロガーな人をオーガナイズできなところが勝つ。こちらの勝ち組候補は、正直なところまだぼんやりとしている。
なかなか楽しそうなことになりそうだな。
さーてと。
(追記)
で、『はてブ』を見ていたらこんなページが。
Web2.0は広告収入を稼げない(Web2.0ナビ)
間違いなく、『Web2.0っぽいサイト=ギークな人が好むサイト』は広告収入を稼ぐことは難しいんだと思います。となると、今のウェブの主流である広告収入ビジネスができないということでしょうか。
(中略)
ギークを魅力して、一般の人をひきこむという流れが、web2.0っぽいサイトのビジネスモデルなのかも。広告収入をメインに考えるならば、まずはギークに。そして必ず一般ユーザを捕まえる必要があるのです。
ギークだけを対象としたサービスで、広告収入を狙うのは非常に難しいのは間違いないと思います。
※ この理論でいくと、(まったく同じ条件で広告を貼るとして)、はてなの広告クリック率は非常に低いはず。それに大して、ミクシィのクリック率は高いはずです。
やっぱり同じ結論なんですね。まったく同意です。
ITに限らず、何事につけ「リテラシーの低い層=初心者」つうのは重要なマーケットですね。キャズムを超えろ、ってそういうことかな。
ワタシはベタ人間なので、大衆のことを考えるのはあまり苦痛ではないです。
ピンバック: マルコ式ネット白書
見つかってしまいました(笑
僕もビジネスとしてのターゲティングは大衆化すべきだと思うのですが、コンテンツの書き手がひたすらに大衆化することが正しいのかどうかにはかなり疑問があります。そういう意味で、引用した「Web2.0ナビ」さんの意見は正鵠を得ているなあと。
・お金はマスが落とす。
・ネタはハイエンドが作る。
この分業をどう成立させていくか、なんではないかなと。
はじめまして
WEB2.0で広告収入が稼げないのは事実だと思います。
っと言うより広告収入を稼ぐモデルでは無いということでしょう。
アクセス数という概念もWEB2.0においては薄れてきますし、マーケティングの後の仕掛けをどれだけ作れるか?
ビジネス(ネット)初心者が稼げる時代の終焉ですかね・・・
はじめまして。そうですね。Long tailを作る側への報酬や評価をどうするのか、ちゃんと考えなければと思います。
同時に、「金銭的報酬」をモチベーションにしない層をコンテンツ・メイカーにすることも考えなければいけないな、とサービス提供者側としては思ったりもします。いわゆるアフィリエイターの提供するLong tailの価値が、どんどん低くなっている現状を考えると。カネよりも名誉、ということでしょうか。