不安の正体!

不安の正体!
★★★★☆
金子 勝 / 藤原 帰一 / 宮台 真司 / A・デウィット (著) 筑摩書房


綺羅星のようなメンバーが行った座談会を元にした評論。9.11以後に顕在化したアメリカニズム=失敗しつつあるパクス・アメリカーナに対し主に経済学的視点とメディア論的視点から分析を加えつつ、日本はどのような戦略をとればよいのかを議論していく内容。
日本の思想家は左右問わずに多かれ少なかれ反米であるけれど、そこで明治以降繰り返される自主主義と汎アジア主義に、常に揺れ続けているのがこの国ではないかと思う。もちろん(現代なら)岡崎久彦のように米英追随路線を唱えるものもいないではないが、基本「思想反米、実際追随」というのがこの国のあり方だ。

著者たちは決してイデオロギーではなく、戦略的に米国追随のリスクを説き、かつアメリカニズムがもたらすメディア監視社会への警鐘を鳴らす。主張は全面的に僕も賛成なのだけれども、ではどうすればよいのか、についてはいささか歯切れが悪い。まあ、それが見つからなくて、世界は混迷の度合いを深めているのだろうし、すぐにソリューションが見つかるとも思えない。ネット業界にいる身としては、ここらでマスメディアの崩壊とweb(=まさしく蜘蛛の巣型)メディアの信頼醸成がそれにあたると言いたいところではあるけれど、それにはまだ10年、希望的観測で5年はかかるかな。

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