男おひとりさまと世間さま

単独行動がキライではない。
と、いうかむしろ好きな部類に入る。最近は寿司屋だって飲み屋だって独りで行くし、一人旅は大好きだ。去年あたりから行動のレパートリーに加わったのは「独り近場源泉掛け流し日帰り温泉巡り(長い)」で、お風呂に入った後田舎の山道をてくてく歩いたりしてても楽しい。で、こういう行動はなかなか理解してもらいにくいもので、困った話ではある。

何かに誘われたときに「いやぁ、彼女と約束がありまして」なんてヤニ下がってみるととたんに相手もにやにや笑いながら放免してくれるものだけれども、これが「明日は一人旅なんで」とか口にした瞬間、僕は奇人か変人の扱いを受けてしまう。とほほほほ。さらにちなみにいうと、僕はタイなど東南アジアの国が大好きで年に一度は行くことにしているのだけれども、本気で「あんまりタイに行くとかいうと買春していると疑われるぜ」と言われたりした。それには心底びっくりした。なんというか、世間さまの目って、世知辛いもんだ。そんなに男一人でアジア旅行するのって、奇異なもんかね。学生時代の友人連中はわりに一人旅万歳派が多かったせいもあり、社会人になってからびっくりしたことのひとつではある。

その意味においては、昨今の「おひとりさま」ブームはいささか羨ましいものだ。女性ひとりであちらこちらに出かけることは寂しいことでも奇特なことでもないんだよ、と社会的なラベリングをされだしている。とはいえ、もちろんこちらだって「負け犬」という半ば揶揄の言葉とセットにされてしまっているし、ついでに女性の単独行動はマーケット的においしいと思われていることも要因のひとつなのだし、諸手を挙げていいなぁと感じているわけではないけれど、それでも十把一絡げに「寂しい変人」のレッテルを貼られる男よりはマシなのではないかと思うのだ。彼女と温泉に行ってプーケットに行く男に市民権はあるが、独りで秘湯に分け入りラオスに分け入る男は三流市民なのだ。僕の場合、それに加えて鉄道に乗ったり純文学のご本を片手に携えたりするのが好きだったりするので、最早目も当てられぬアウトカーストである。とほほほほ。

先日そんな話を知人としていたら、「それってようするに異文化衝突なんじゃないか?」と言われてなるほどなぁ、と膝を打った。「異文化は排除しておく方が楽なんだよね」とさらに言われてかくんかくんと肯首した。納得。
とはいえ膝を打とうが頷こうが、やっぱり排除されてしまうのは少数派の方なので、大変切ない話である。今月は山奥の秘湯、来月は寒村のいで湯、来年はベトナムに再来年はスリランカに、そうして僕はだんだん切ない少数民族みたいになってしまいそうだ。世に云うところの変人とか奇人はこうして世間が形成するのだなあ、と他人事みたいに納得して、そうしてやっぱり自分の行動は変えない。

そこらへんが受け入れられがたい理由だな、とどのつまり。

Similar Posts:

カテゴリー: A:Diary パーマリンク

2 Responses to 男おひとりさまと世間さま

  1. bouen のコメント:

    ところで、スノビな石花海は行かなかった?行けなかった?
    報告バナシを待ってたのだけど!!!

  2. もりしま のコメント:

    行きましたよ〜。いいところでした。
    旅日記はおいおいと。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください