上海の西、デリーの東-素樹 文生、マレー蘭印紀行-金子光晴

上海の西、デリーの東-素樹 文生、マレー蘭印紀行-金子光晴齢三十に近づいても、実はいまだに心のどこかで「深夜特急」にあこがれ、アジアな旅行の話となれば喃喃としてやまない僕だ。

旅行記なかんずくバックパッカー系は本当に当たりの本が少ないのだけれども、「深夜特急」「ASIAN JAPANESE(小林紀晴)」「印度放浪(藤原新也)」の名著3冊以外に、これは、と思う本が以下。基準は単純で、「自分が旅しているときに読んで、なおかつ面白いか、どうか」。今旅に出ている人間に読ませてなおかつ本の中の車窓に引き込める筆力って、そうはなかなかない。

上海の西、デリーの東
★★★★★
素樹 文生(著) 新潮文庫

マレー蘭印紀行
★★★★★
金子 光晴(著) 中公文庫

前者は同時代的なシンパシーをもって、上海→デリーの旅を描いている。特にインドに入ってから、明らかに筆致が変わるところが、インドに行った人間としてとてもわかるのだ。そのシンクロニシティーは言葉につくしがたい。
後者も名著だけれど、この本はやっぱり日本のカフェなどではなく、やっぱりマレーのコテージの、薄暗い電灯の明かりの下で蚊を追い払いながらタバコを吹かしながら読むのがいい。

馬鹿な話だけれども、旅をするという楽しみの中には、僕のばあい本を読むことがかなりの割合で含まれている。いつしかから。個人的には、カミュ、フィッツジェラルド、ヘミングウェイが三傑で、日本の作家ならやっぱり村上春樹だと思うのだけれども、旅路の宿で、放浪を描いた珠玉の作品を味わうのも、またかえがたい愉悦。旅の夜に放浪を想うなんて、ちょっとシュールで哀しくていい、じゃないか。

こんなことを考えながら、今夜も陋屋で僕は旅先でページをめくる何ともいえぬ喜びを想像しながら、追憶しながら、これらの本を読んで、そして夜が更けていく。

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