南国読書の季節がやってきた

懲りずにまた、今月末から10日ほどタイを旅行する予定。

今回は記念すべき10回目のタイ道中、と指折り数えて少し驚く。初めて訪れたのが1996年の春だったから、ほとんど年に1度はバンコクに降り立っている計算になる。
なぜこれほどまでにタイが好きなのか、と問われれば、常夏の気候に食べ物が旨く、山あり海あり、鉄道の旅ができて人情もある、と並べ立てることはできても、それだけではもちろんないわけで。僕の心を溶かす何かがあるから、僕の体はこれほどまでタイに向かう。解放された気分で真向かいに向かい合う場所が、たぶんここなんだろうと思う。なかなか理解はしてもらえないけれど、自分だって分からないのだから致し方もないところ。

というわけで、今日は池袋のジュンク堂に立ち寄り、大量の本を買い込む。このうち何冊かをピックアップして、椰子の木陰で読書としゃれこむ予定。

カフカ「審判」、渋澤龍彦「高丘親王航海記」、ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、金子光晴「どくろ杯」、梅棹忠夫「東南アジア紀行」、アゴタ・クリストフ「昨日」というラインナップ。良書ほど旅先にふさわしいものはないのだ。旅と読書こそ、最高の悦楽。

そういえば、去年はタイでアゴタ・クリストフの「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」を一気に読了した。なぜこの本を今まで読んだことがなかったのかと煩悶するくらいに、乾いた文体の裏にあふれる豊かな人間描写が僕を虜にしたのだった。

今年の旅でも、自分の血肉になるような読書体験ができればいい、と願うわたくし。まあ、十何万円も支払う読書というものも、考えてみれば贅沢な話だ。しかしこの贅沢こそが、僕の生きる糧なのだろうとも思う今日この頃。南国の読書が無い人生など、何の価値があるのだ。

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