投資信託についての雑感

残念ながら、ほんとうに雀の涙ていどなのだけれども、こう見えて投資などをやっている。投資信託だけですが。

株は個人の小金でやるとせいぜい数社分しか買えないので特定企業の業績に左右されすぎるし、外貨預金はリターンがしょせん利子だけのくせに為替リスクを取らなければならないし、FXやら先物やらはただのバクチだし、金投資は何の利益も生まない退蔵だし、ということで投資信託に落ち着いている。もうちょっとお金があればETFでもやりたいところだけど、毎月数万円だと、やっぱり単元額の低さから投信になる。

投信を買い始めてからもう6、7年になるけれど、ほんとうに最初は何がなんだかわからなかった。何となく毎日値動きがあるので楽しいね、という感覚。BRICSやら資源国やら、日経新聞に出てくるワードに投資できる!…と、まあまあ能天気な投資家だったんである。それでも当時は好景気だったのである程度含み益が出ていたけれど、リーマンショックでインド株ファンドが半額になったり、痛い目にあって撤収。

人間オノレのカネで痛い目を見ると勉強もするもので、それからようやく投資信託の勉強を始めた。結果的に、投資信託なんてほとんどは手数料をかすめ取るインチキビジネス、と言って悪ければ非常に確率の低い賭けをするディーラーにチップを払ってやっているもんだ、ということを学ぶ。これ、つまり手数料の高いアクティブ・ファンドのこと。市場は巨視的に見れば合理的な存在であり、その成長期待を織り込むのは株式指数に代表される「市場全体」そのものという考え方に立てば、インデックスを構成する銘柄を、その構成比率どおりに購入するインデックス・ファンドのほうが、手数料が低く成長曲線に近似する。という理屈は「ウォール街のランダム・ウォーカー」というベストセラーに書いてあるとおり。

実際最近は僕の投資のほとんどはインデックスファンドが対象になっていて、決めるのは投資先のポートフォリオ(先進国か新興国か国内か、株式か債券か)くらい、探すときには純資産額の多寡と信託報酬の低さに着目するだけ。いろんな人が言っているとおり、インデックス投資って退屈なもんです。おまけに最近は「STAMシリーズ」と「e-maxisシリーズ」という、大変優秀なファンドが出てきたせいで、ファンドもほとんど選ぶ余地もない。

多くの人が株式直接投資やアクティブファンドに走るのは無知もあるけれど、この退屈さが「投機」感をいっさいかもし出さないことにも遠因があるのかな、と思う。まだまだ日本では「株でうまくやれば一攫千金」なノリの人が多いので、指数どおりの値動きしかしないものを買う気にはならないんではないか、と思う。まあ、そういう人が多ければ多いほど、結果的に市場がいろいろ動いて、インデックス投資家は「市場均衡を目指すそんな値動き」にただ乗りできるんだけれど。

ということで、ほかのいろいろな金融商品と比較して、「なぜ投資信託(なかんずく、インデックスファンド)を買うのか」という質問に、自分なりの回答を返せるようになるのに、数十万円と数年の時間という授業料を費やした。負け惜しみだが、こういう授業は若いうちに受けておいて良かったなあ、と思う。僕、資産は少ないけれど、知恵は多少身についたよ。えへん。

…で、今その投資がきちんとプラスになっていればいいのだけれど、最近の株安に加え、円高の急伸で円換算した外国株ファンドが絶賛値下がり中。将来は絶対超円安になると賭けている、と言い聞かせつつ、気持ちが浮つくにはかわりない。含み益のほとんどが新興国株投信(しかもアクティブファンド…)というに至っては、もう今まで書いた文章の説得力がすべてなくなってしまうていたらくなのだけれども。

そして、この賭けの払い戻しは、老後になって初めて分かる種類のものである。
三十を過ぎてしみじみ思うのだけれども、資産形成が成功だったか失敗だったかは、老後にならないと分からず、やり直しもきかないという、まことに切ない話なんだなあ、ということ。人生のバランスシートなんて、最後に1円のプラスで上がれればいいや、と、こういうエントリーを書くとそう思ったりもする。

(参考)

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