汽車汽車しゅっぽしゅっぽ

最近、電車に乗る機会が増えた。

で、何に気がついたかといえば、少々頭が春模様の人が意外に多いことである。歌を歌う人、ぶつぶつと呟き続ける人、先頭車両の運転台後ろに陣取って、運転手さんの真似をしている人。
中でも圧巻はこの間僕の向かい正面に乗り合わせた人で、どんなご容態かといえば、駅が近付くたび周囲に「ここ、××駅ですか、××駅ですか、××、××、××ーっ!?」と連呼し続けるのである。駅に着いたら着いたで、ホームに降りて、
「ここ、××駅ですか、××駅ですか、××、××、××ーっ!?」
最終的に降りた駅ではもはや誰に訊ねるともなく、お独りで駅弁売りのように駅名をこだまして去っていかれた。

昔中島らも氏のエッセイで「電車に乗ると『次はたかつきー、たかつきー』とうなってしまう大学教授」なる逸話を読んだことがある。そのときは氏一流の冗句だと思ったのだけれども、あながち嘘でもないと思い始める今日この頃だ。

鉄道と脳味噌春模様、といえば精神病院を描いた漫画の登場人物には必ず「汽車汽車しゅっぽしゅっぽ」という台詞が付与されるくらいに縁が深い。
フロイト流に解釈すれば鉄道は男根の象徴なのであり、鉄道にすがる精神病者というのは、己の優越性を信じられなくなった人間が無意識に寄る辺を探し求める強迫観念の産物、という解釈が成り立つ。男性に限っては。

そんなこんなをつらつら連想しているうち、
・鉄道が好き
・精神的にナイーブ
の2条件に当てはまる我が身はどうなのだということに思い至る。確かに、リミッターが外れたら確かに毎日電車に乗って神戸線往復してそうだ。まさに終点のない列車。

「このれっしゃ、たかつきにはとまりませんー、ごちゅういくださいー」

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