ヒューザーとリテラシーとリスクについての傍目八目

傍目八目というがふさわしい僕の感想。

■NIKKEI NETより
ヒューザーの破産申し立て検討・マンション住民

八住庸平・グランドステージ住吉対策委員長は「先週、ヒューザーの小島(進)社長と会った際、1か月前に約30億円としていた会社の預貯金が、『今は5000万円を割り込んでいる』と明かされた」として、「ヒューザーは実質的に破たんしている。早期に資金流出を止め、資産を保全する必要がある」と説明。同社がこれまで住民側に示してきた補償案に関しては、「実現の可能性が乏しく、信用できない」と語った。

その他の参考記事:ヒューザーの破産申し立て検討・資産確保へ住人側

ヒューザーの資産ぜんぶでどの程度あるのかわからないけれど、自社物件の証券化をがしがしやっている会社でもないかぎり、かなりの部分が不良資産となって流動性を失っていることだろう。偽装マンションなんてもう買い手がつかないだろうし。以上は憶測ですけど。

で、それが正しいとするなら、破産処理してどうすんのよというのが正直な感想。仮に本当にヒューザーの現預金資産が5000万円なら、被害者で頭割りしたら引っ越し代にもならない額しか手に入らない。おまけに、まだ賠償責務の確定にも至っていない状況だしな。いろいろな議論もあるし軽々な決めつけはしたくないけれど、善良だがリテラシーの低い人がマンションを買っていたのかもしれない。報道された彼らの対策が、正論だけどリアリズムに遠いという意味合いで。

ちなみに、2004年段階でこんな議論がネット上にはございます。

ヒューザー社の100m2超マンションはいかがですか?

04: 名前:匿名さん投稿日:2004/03/20(土) 20:10
100平米なんてハンパな数字は物件を選ぶにあたってどうでもよい。気にしない。
それを強調したこのスレはなんか変。

しかし釣られてホームページみた。「100平米」がウリ文句らしい。このスレタイはやはりあやしいね。
が、資本金2億円・社員数38名。小さすぎ!
外資っぽい名前にしておきながら、そんなものとは無縁。
恒和不動産株式会社→株式会社マンション流通センター→→株式会社ハウジングセンター→株式会社ヒューザー
社名変更しすぎ!(設立は昭和57年と歴史も浅いのに)
別に100平米は小さなデベからでなくても買えるし。

05: 名前:4投稿日:2004/03/20(土) 20:26
100平米を超えるかどうかなんて消費者からすればどでもいい。
むしろ使い方としてはxLDKなのかのほうが気になる。
価値観を押しつけているだけにしか見えない。
「100平米超」だけがウリ文句では、他のデベに比べれば、なにも響いてこない。
他のデベの物件でも100平米超はあるし、いろんな生活提案のなかで、90平米におさまる場合もあるし、110平米を超えることもある。
そのなかで、「100平米超」とかの「広さ」を第一のウリにしたデベから買う理由は特にない。
他の会社を検討してみた方がいいのではないでしょうか。
以上でいかがでしょうか? >>1
で、この会社の数少ない物件のうち、どこの物件を見てるんですか?

21: 名前:サンド投稿日:2004/03/21(日) 11:54
私も詳しく物件を調べたわけではありませんが、印象をお話しします。
広い割には安い理由は
・少人数で販売している。
・モデルルームはつくらない。(竣工すれば棟内にはつくる)
・西向きとか、駅から少し離れているとか、ちょっとワケありもある。
・施工会社が大手ではない。
マンションの価格は、デベロッパーの裸利益+建物工事費+土地代と考えられますから、首都圏で裸利益と建物が大体100万円/坪、土地代が坪150万円とすると容積率200%で部屋坪当たり80万円
くらい。あわせて180万円/坪となり、100m2(30坪)で5400万円となります。これを少しでも安くしようとすると、土地代が少し安い、あるいは他のデベが買わないところ。人件費を安くして裸利益を下げる。などコストダウンを考えているのでしょう。
多少の条件は妥協してでも、広い部屋に住みたい人には、検討する価値はあるのではないでしょうか
ただし、比較的小規模物件なので、高級感とか将来の日照には不安がある場合もあるでしょう。
建物の品質は、ちょっと分かりませんが、個性のあるデベだと思います。

これを読んでも「綺麗で広い」という売り文句で、近隣の実勢価格や他社物件との比較もせず購入したなら、それは勇気がありますね、ってことだ。
そもそも調べもしませんでした、というなら、そういうリテラシーレベルの人が自分のB/Sを思いっきり膨らませる不動産購入をする行為がいかにリスキーなことなのか、日本では社会的認知を得ていなかったんですね、ということな気もする。企業のアセットスリム化はバブル後の教訓として根付いたけど、個人レベルだとまだまだってことでしょうか。
株に投資してその会社が倒産したら紙切れ、というのと、不動産に『投資』してそれがジャンクだったら不良資産、というのは同義語ということを、日本人の『不動産は別格資産神話』の『偽装』を明らかにするべく、しっかりと社会的にアナウンスするべきなんではないだろうか。人はバランスシートの勘定だけで生きてるわけでないので、買うこと自体にもメリットがあるのはよく分かるのだけれども。

他人事なので、以上教訓と傍観者的なお話にして終わり。
僕自身は、父親が不動産鑑定士にもかかわらず(いや、だからというべきか、)小さい頃から不動産を購入することの幻想とリスクを聞かされてきた。とはいえ、子供が出来てちょっと余裕もあるような立場に立ったらどうなるかというのは微妙です。目がくらんで買っちゃうかもしれない。今回のようなことがなければね。ええ、インド株に投資しているような男だからなあ(苦笑)。

参考:
マンションを買うということ(R30::マーケティング社会時評)
耐震強度偽装問題の政府支援についてはとく言うこともなし(極東ブログ)

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