1999/01/22 シンガポール再び

乗り合いタクシーをYMCAの前で降りる。ここシンガポールでは、YMCAだって結構な値段の部類に入るので、もっと安い宿を探しに、ベンクーレン・ストリートに向かって横断歩道を歩き始める。
瀟洒な大通りから一本入っただけのその通りは、安宿街にふさわしく、少しくすんだコンクリートが目立つ。そんな乾いた通 りに、さらにみすぼらしい自転車に乗った男が立っていた。
「チープ・ホテル?」
「イエス」、と僕が答えると、男はこっちについてこい、という意の手招きをし、僕の先に立って歩き出した。彼はたまさかに振り返ると僕がきちんとついてきていることを確かめ、安心してまた自転車を押し始める。まるでハンミョウのようだ。
彼に案内されたのは、通りでも一番くすんだビルだった。年代物のエレベーターに乗せられて、僕は宿へと向かう。

何も変わっちゃいない。

数年前に初めてシンガポールを訪れたとき、やはり僕は同じようにして彼に手招かれ、そうしてこの宿に着いたのだ。

宿の主人に「これからどこに行くの?」と訪ねられ、「インディア」と答えると、「オー、ダーティーカントリー」の一言が返ってきた。ダーティー。確かにこの清潔なシンガポールに比べれば、雲泥の差があるのだろう。

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