1999/02/03 憧れのバラナシ

アメリカン・ブレックファーストを食べる。こんな朝食が用意できることに驚く。52ルピー。

バラナシは言わずと知れたヒンドゥー教の聖地で、年間何百万人もの信者がバラナシを訪れ、そしてガンジスで沐浴するのだという。貧しい人々の中には、バラナシで死ぬ ことこそを本願にして、身一つでこの地までやってくる者もいるのだそうだ。
バラナシでは、河の流れに沿っていくつかの『ガート』、船着き場と沐浴場を兼ねたようなものが連なっている。その中でも最大規模の「ダシャシュワメート・ガート」に向かう。
人波の喧噪を予想して出掛けたのだけれども、昼近くとあってそれほどでもなかった。ボートの客引きや物売りがしつこくつきまとう中、僕はガンジスを眺めた。
どんな川よりも汚い河岸。
眼を遠方に転じると、何もない不毛の砂地が広がっている。向こう岸は不浄の地ということで、人は住まないのだという。
インド最大の目的地は、あまりにもゆっくりと、流れていくだけの河だった。

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川沿いに北へ歩く。途中、ホースで道に溜まった汚泥を洗い流す作業をしている。仕方なく裏道を迂回することにして、細い路地に入り込む。
これがどんな道よりも汚い。
牛糞、残飯、汚泥でできあがっているかのようだ。
さらに歩くと、薪の山をいくつも積み上げた店が急に増え出した。その軒をつたって岸辺に出てみると、やはりそこは火葬場だった。いままさに昇天を願う棺が、火葬の順番を待って、遺族と共に列を作っている。
帰りはボートを捕まえてダシャシュワメートまで戻る。20分ほどで40ルピー。船頭が何か合図をするので岸の方を見てみると、先ほど通 ってきた火葬場から、いくつもの煙が立ち上っていた。僕が身を乗り出そうとすると、船頭は僕のカメラに手をやり、鞄に隠せという。火葬場を写 真に撮ることは、厳禁らしい。

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インドに来てから全く酒を飲んでいない。もともと酒が好きだというほどではないけれど、手持ちぶさたになって酒を出すレストランを訪れてみた。店は薄暗いビルの地下にあり、ビールを頼むと新聞紙で瓶を隠して差し出される。やはりヒンドゥー教ではアルコールはタブーに近いものがあるのだろうか。

こんな感じで、一日は淡々と終わった。
いつの日かと熱望していた土地の筈にしては、拍子抜けするほどあっさりしていた。

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