南国の寿次第-08:アジアの道を 2008/12/25

今日はインドネシアの世界遺産、ボロブドール遺跡を見に行く日である。

朝陽にかがやくボロブドール…は早起きの観点からそうとう難しいので、朝食も食べず7時前にホテルを出る。気合いを入れてバックパッカーになってみようじゃないか、というかいつもの旅路に戻っただけなのだけれども、ローカルバスに乗って遺跡までたどり着くことにし、まずはホテル前からベチャでバスターミナルを目指す。ベチャの運転手に「ボロブドール行きのバスに乗りたい」と伝えたら、バス停より市内に近い道ばたまで連れていかれ、ここでバスに乗ればよい、と教えられる。20,000Rp.で手を打っていたのだけれど、チップ含めて23,000Rp.(=¥200)を手渡し。

来たバスにボロブドール?と声をかけ、頷くので乗り込んでみれば、このバスは途中のムンティランなる町までしか行かず、そこで乗り換えになるとのこと。わりと広い道をずうっと飛ばしていくが、しだいに道は田舎の細道となり、やがて雨も降り出してきた。ワイパー越しに見える景色は、僕がむかし虜になった、あのアジアの道だった。車内にはもちろんエアコンもなく、少し蒸し暑い空気も、あのころのアジアのままだ。
雨降るムンティランからはミニバスに乗り換え、それほどの時間もかからずボロブドールへ。バスは遺跡のそばに到着せず、少し離れたところに止まる。そこから遺跡までは参道のようなところを歩いていくことになるので、地元の土産物屋、食堂への遠慮みたいなところなんだろう。

遺跡の入場料は115,000Rp.(=¥1,000)。物価水準から考えるとそうとうな値段だ。そばの食堂でコーヒーとトーストを2人前頼んで23,000Rp.(=¥200)なのだ。まあ、ここまで来て高いから入らないというわけにもいかない。最近は物価の安い国でも、遺跡や寺院の外国人料金が高い国が増えてきたなあ、と思う。
ボロブドールは周囲に緑が多く、ほかの大規模な遺跡も見あたらないことから、遺跡に登り周囲を見渡すと、鬱蒼と茂った密林の中に忽然と現れたかのようなシチュエーションになっている。独特の美しいストゥーパ(仏塔)が数十基と立ち並び、外界と隔絶した小世界のようだ。インドネシアでは仏教が完全に衰退してしまっているので、外のイスラム世界=現在と切り離されていることも、そう感じる一因かもしれない。
ひとしきり風に吹かれた後、暑くなる前にジョグジャへ帰ることにする。帰路はボロブドールからジョグジャまでの直通バスがあり、動き出してから車掌に切符を買い求めると、ひとり20,000Rp.(=¥180)だった。往路はムンティランまで6,000Rp.、ムンティランからボロブドールまでが5,000Rp.だったので、帰りの料金は倍額近い。高くない?と訊いたが、みんなこの料金だ、と譲らない。ボラれたというほどの金額でもないしおとなしく払ったけれど、インドネシアを旅していてしばしば悩まされたのが、バス代でさえ定価がはっきりしないということだ。どうも旅がしづらい国だな、と思う。

昼食をフードコートですませ、ホテルで休んだ後にコーヒーを飲みに行く。ホテルと直結したショッピングモールには「Excelso」という、まるで日本のエクセルシオールみたいな名前のコーヒーショップチェーンが入っており、そこでアイスラテ、チョコフラペチーノとバナナをクレープ生地で包んだロティを食べる。これで80,000Rp.(=¥700)。物価を考えればなかなか良い値段で、日本と変わらない。そのかわり雑踏や喧噪とは無縁の落ち着いた空間で、ちょっとしたホテルのラウンジなみだ。気に入ったせいで、インドネシアの各地で見つけるたびに入ることになる。
その後、同じモールに入っている美容院へ。髪を切るわけではもちろんなく、インドネシア名物「クリームバス」を受けるつもり。ヘアクリームをたっぷり髪につけ、頭皮マッサージをしてもらうというもの。これがなかなか気持ちよく、たっぷり1時間半はかけて揉みほぐしてもらう。2人で111,500Rp.(=¥1,000)。これは格安で物珍しい、おすすめのリフレクソロジーです。

今日はもうゆっくりしよう、ということで、馬車とベチャを使い旧市街をくるっと車窓観光したのち、夜になるとメインストリートに並ぶ屋台で夕食。歩道に張られたテントの下、ゴザが敷かれたところで名産の鶏の唐揚げ「アヤム・ゴレン」と焼き飯(ナシゴレン)、ビールの夕食。揚げたてのアヤムゴレンはモモがまるまる半身分で、カレースパイスの下味とスパイシーなサンバルのタレがあいまって、うまい。鶏肉がいいのかな、と思う。地元の人たちしかいないところで、身振り手振りでうまいと伝え、楽しい路上の晩餐。……といい話で終われるか、というと、アヤムゴレン4本、ナシゴレン2つ、ビール1本で80,000Rp.(=¥700)。高いわけではないが、微妙に相場より上なのだ。観光客の身分で地元と交われない一線は、やはりカネだな、と思う。

これがベチャ。多少の雨ならなんとかしのげる。 ジョグジャカルタからのバス。雨の中、南国の田舎道をひた走る。 国内外の観光客であふれかえるボロブドール遺跡。 遺跡の上まで登ると、美しいストゥーパが並んでいる。 まるで城壁のような、ボロブドールの外観。 車、バイク、ベチャ、馬車が並ぶ、不思議な信号待ちの光景。 道ばたの露天で食べた夕食。

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