1998/02/27 漫遊三日目(広島-宮島-宮島-岩国-下関)

 9時頃ホテルを出る。コンビニで朝ご飯がわりにパンとコーヒーを買い、平和記念公園まで歩く。川を挟んだ向こうなのでそれほどの距離ではない。小春日和の日光が、心地よい。
 広島は原爆で全てが消滅したせいもあり、都市計画がきっちりしている、日本では珍しい都市の一つである。目抜き通 りも立派だし、路面電車もしっかり生き残っている。公園も緑も多く、都会の雑踏を感じさせない。
 平和記念公園は、そんな広島の中心に位置している。有名な原爆ドームも、このそばにある。爆心地のすぐそばであり、あの八月六日、このあたりは一瞬にして灰燼と化した。私とピンキーは、のどかな光に包まれた50年後、その地でうまいのまずいのと言いあいながら、パンをぱくついている。

 平和記念資料館を見学する。これについて、ああだこうだと書き連ねるのは止めにしたい。私もピンキーも、ここは2度目の訪問になるのだが、受ける衝撃は何ら衰えることがない。私たちは口もきかず、館内を経巡り歩いた。
 絶対に、訪れるべき場所である。そうこれを読む皆さんにも伝えたい。

03shiryou.gif

04shiryou2.gif

 原爆ドームを横目に見ながら、「お好み村」に向かう。ここには10軒程度のお好み焼き屋が入っていて、好きな店でお好み焼きを食べられる。見ていると、地元の人は行きつけの店が決まっているようだ。
 私たちはそのうちの一軒で広島焼き=焼きそばの入ったお好み焼きを食べる。お多福ソースという甘めのソースが関西とは違う。腹一杯になって、店を出る。駅まで路面 電車に乗り、そこから宮島を訪れることにする。
 広島には「ぷよぷよ」という大人気ゲームの開発元があり、駅前では「ぷよまん」という饅頭まで売っている。めざといピンキーが、いつの間にかちゃっかりその袋を手にしている。パンツの替えも人に用意してもらう子のくせに、なぜかこういうときだけはしっかりするのである。電車の中でも彼女はひとしきりはしゃぎ、その様子を見るに見かね心配してくれたおばさんに宮島への行き方を教えてもらうという特典までつく。

 船で宮島へ渡る。思ったより大きな島である。桟橋には鹿が戯れている。土産物屋が並ぶ通 りを、もみじまんじゅうの看板にふらふら吸い寄せられるピンキーを引っ張りながら、厳島神社へ歩く。
 残念ながら鳥居には潮が満ちていて、歩いて鳥居のたもとに行くことはできなかった。が、能舞台まである広い神社をゆっくりとまわり、その美しさにしばし佇む。
 「鹿のエサ」を、ピンキーが手にしている。そばの土産物屋で買ったらしい。コートを舐められたり鞄を食われたりしながら、手ずから鹿にエサをやっている。大したものである。そして、ここでも私の目を盗んで、しっかりもみじまんじゅうも買っている。お好み焼きは残したくせに、甘いものだけはどれだけでも入るようである。

05miyajima.gif

 宮島から岩国まで、電車でおよそ20分。窓外には工場や、米軍基地に離着陸する飛行機が見える。
 基地の街らしく、駅前には外国人の姿が多い。先ほどの平和資料館を見たせいで、思わず「Fuckin!」と呟きたくなる。
 バスで錦帯橋に向かう。岩国城下に架けられた美しいアーチ橋である。ちらほらと観光客が見える程度の閑散としたところで、清流に架かる橋が美しい。通行料を払い、橋を渡って城下町に行く。
 ここ岩国は毛利氏の支藩である吉川氏の城下町である。吉川氏はあの「三本の矢の教え」で有名な吉川元春の子孫にあたる。石人形や瓦煎餅など、素朴な土産物が多い、いい街である。

06iwakuni.gif

 町で有名なのは「白蛇」なのらしく、「白蛇館」という建物まである。ピンキーが見たいというので、そこに行く。「白蛇はね、お金が貯まる福の神様なんですよ」と講釈をたれ、観光客から百円玉 をせびり取るおばさんの顔を見るうちに、中に入る気が失せる。ピンキーはちゃんと中に入り、白蛇とも対面 して満足げなご様子である。

 岩国駅まで戻り、再び山陽本線に乗り継ぐ。今晩の目的地、下関までは3時間半の長旅である。
 途中で日も暮れ、何も見えない車中にだんだんうんざりしてくる。はやく電車を降りたくなってくる。2時間経った小郡で、普通 列車を乗り通すことを断念し、新幹線に乗り換える。たった4両編成の「こだま号」である。
 新下関で下車し、在来線で下関に着く。駅前をふらふらしてみるが、居酒屋以外に何も見あたらない。一番ましそうなのは駅にあったビアホールだったので、そこでビールを飲みながら夕食にする。鯨がメニューにあるなど、下関らしさは多少感じられる。店員の接客が恐ろしくよい店だった。

 さて、今晩は野宿の予定である。山陰線に乗り、手近なところで眠ることにしようと思う。が、ピンキーはホテルに泊まりたいとのたまう。松山の野宿と、昨晩の快適さのギャップがあまりにも激しかったからだろう。女の子に野宿をつきあわせるほうが普通 はどうかしているので、素直に駅近辺のビジネスホテルに泊まる。建物は古いが、部屋は清潔だった。「お二人だからダブルのほうがええですわなぁ」とほざくフロントのヒヒじじいさえいなければ、まずまずの宿である。


今日の行程
路面電車 八丁堀 広島駅前 約10分
普通列車 広島 12:56 宮島口 約10分
松大観光船 宮島口 13:30 宮島 約5分
松大観光船 宮島 15:00 宮島口 約5分
普通列車 宮島口 15:22 岩国 15:42
バス 岩国駅前   錦帯橋 約15分
バス 錦帯橋   岩国駅前 約15分
普通列車 岩国 17:48 小郡 19:42
新幹線 こだま 小郡 19:49 新下関 20:08
普通列車 新下関 20:21 下関 20:30

Similar Posts:

カテゴリー: D:旅行 タグ: パーマリンク

2 Responses to 1998/02/27 漫遊三日目(広島-宮島-宮島-岩国-下関)

  1. 長田ゆき のコメント:

    生きた白蛇を祭っている神社をしりませんか?教えてください。

  2. Masahiro のコメント:

    おたずねの白蛇ですが、以下の所で見られるようです。
    僕が行ったのは「横山白蛇観覧所」の方でした。

    http://www.urban.ne.jp/home/iwakunic/kanko/riyo/riyo.htm

    横山白蛇観覧所

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください