自分なりに記事にしておくことにする。
ライブドア、宿泊予約サイト買収へ・楽天を追走―NIKKEI NETより
インターネット関連企業のライブドアは宿泊予約サイト運営大手のベストリザーブ(大阪市、小野田純社長)を買収し、完全子会社とする。出張先の宿泊施設をネット予約するビジネス客らの需要が高まると判断した。ライブドアが自社で運営するポータル(玄関)サイトとの相乗効果を狙う。
ライブドアは約310万株を新規発行し、株式交換方式でベストリザーブの筆頭株主であるベンチャーキャピタルのジャフコや小野田社長などから株を買い取る。ライブドアの新規発行株は24日の終値で計算すると約11億5000万円相当。ベストリザーブはビジネスホテルを中心に全国約3000カ所の宿泊施設と契約し、自社運営のサイト経由で予約を仲介。2004年3月期売上高は2億700万円、経常利益は3900万円。
ライブドア、ホテル予約サイトのベストリザーブを100%子会社化―INTERNET Watchより
ライブドアは27日、宿泊予約サイトを運営するベストリザーブを株式交換により100%子会社化することで合意したと発表した。ライブドアが普通株式310万2,240株を新規に発行し、ベストリザーブ株式1株に対してライブドア株式1,686株を割り当てる。ライブドアは、ポータルサイト「livedoor」における旅行関連カテゴリの充実を図る。
今回の資本提携により、まずはベストリザーブの子会社が運営する宿泊予約サイト専門の検索エンジン「モノリス」とlivedoorの連携が予定されている。livedoor Blogとモノリスを連携し、モノリスが保有している約26,800件の宿泊施設ごとにブログ型掲示板を設置。宿泊者の口コミ情報を掲載し、ブログ開設者がトラックバックできるようにする。
さらに、livedoorの検索メニューにモノリスを追加する。従来のWeb、ブログ、辞書、地図、路線に加えて、ホテルが検索できるようになる。また、livedoorの検索で宿泊施設関連のキーワードが入力された場合に、モノリスのデータとマッチングを行ない、補足的に宿泊情報を表示する機能も提供するという。なお、これらモノリスとlivedoorとの連携機能の提供開始時期は未定だ。
このほか、ベストリザーブの独自企画商品により「livedoor Travel」のコンテンツ強化を図る。また、ベストリザーブに空室料金や料金を登録するためのホテル向け専用管理画面に「livedoor オークション」への出店機能を用意。ホテルがキャンセル商品などを販売する際にオークションを活用できるようにする。
ライブドア、宿泊予約サイト「ベストリザーブ」を完全子会社化―Japan internet.comより
株式会社ライブドアは、2004年12月26日、株式交換により株式会社ベストリザーブを完全子会社とすることを決定し、株式交換契約書を締結した、と発表した。
同社グループは、Web システムの開発やインターネット上でのマーケティングノウハウを活かし、ポータルサイト「livedoor」を核としてインターネットを通じた各種サービスを提供している。
また、今後コンシューマ向けのサービス提供を強化する方針で、特に旅行系カテゴリにおいてオンライン宿泊予約市場の拡大から、より優位性のあるサービスの提供が課題となっていた。
一方、株式会社ベストリザーブが運営する「ベストリザーブ」は、ビジネス目的の宿泊予約を主力とした宿泊予約サイト。同年10月には東芝ソリューションと提携し、ルームコントロールサービス「RoomAgency」を導入している。
ライブドアはベストリザーブの完全子会社化により、旅行系カテゴリの充実、及びその他のサービスとの連携効果を期待している。
先行するアメリカに比べ、日本ではeコマースの主翼と目される旅行分野の立ち上がりが遅い。「楽天トラベル」のようなメガサイトは確かに存在するのだが、オンライン宿泊予約は宿泊需要全体のせいぜい5%、多く見積もっても10%には達していないだろう。また(航空券需要の一定割合を除く)宿泊以外の運輸・パッケージツアーについては全く手つかずと言ってもよい。これは
・アメリカの場合は自由競争の進んだ飛行機輸送が主流であり、規制インフラ産業としての色が濃い鉄道需要が旅客輸送のメインである日本との違い。旅客輸送分野においての価格競争が生じにくい。
・大手旅行代理店という存在の有無(アメリカは中小代理店が主で、直販化、ウェブ化が進んでいる)。これにより、パッケージツアーが代理店の独占業務となり、圧倒的な新規参入障壁を築いている。
・旅行業において、「仕入れ」リスクを背負い、そこに利潤を乗せて売るスタイルが認知されつつあるアメリカと、「販売代理業」にとどまりコミッションビジネスの範疇から抜け出せない日本の業界構造の違い。
といったところが主たる理由として挙げられよう。それと比べればまだイールドマネジメントという考え方が受け入れられており、かつ商品構成が単純なホテル(≠旅館)宿泊が、前述の総販売チャネルに占めるシェアの低さは否めないながら、それでも当面は旅行商品の電子商取引の主要分野でありつづける可能性が高い。
現在、オンライン宿泊予約のシェア7割を占めるというガリバー楽天トラベルの対抗馬は、業界に事実上存在しない。主なプレイヤーは
・楽天トラベル
・じゃらん(リクルート運営)
・Yahoo! トラベル(JTBとの共同事業)
・一休.com
・ベストリザーブ
に絞られており、2番手に位置するじゃらんやYahoo! トラベルがキャッチアップを図るためには、独立系の一休かベストリザーブを買収するのが早道なのは素人でも分かる話だ。その考えに立脚した上で、今回横からライブドアが、コマースという日銭商売の柱を作るべく、ベストリザーブをかっさらった。彼らとしては、せめて2番手グループの仲間入りをしておこうという目算なのだろう。
僕ならビジネスホテル中心のベストリザーブにとどまらず、ベストリザーブとはコンフリクトが少ない一休にもM&Aをかける。高級ホテル予約のブランドは、コンシューマ向けに切り込むには大変有効であり、ベストリザーブのみではブランディングと高単価戦略への舵取りに時間がかかることが予想されるためだ。まあ実際のところ、一休を運営するプライムリンクの森社長は以前どこかのインタビューで「上場は目指していない」と答えていたので、仮にM&Aを提案しても、フィジビリティーが高いとは言い切れないのではあるが。
さて、ライブドアはベストリザーブを掌中にしたことで、
(1)Yahoo!、じゃらんをしりぞけて2番手サイトになれるのか。
(2)楽天トラベルにキャッチアップできるのか。
(1)に関しては、やはり海外分野、レジャー分野のコンテンツを保有するじゃらんやYahoo!に比べるとウィングが狭く、その分野への進出を図るならば既存旅行代理店あるいは航空券予約サイトとの提携ないしは買収が必須だ。その場合は本業が芳しくない2番手代理店の日本旅行や、あるいは海外航空券予約でネットに地歩を築いたイーツアー・トラベルコなどがパートナーとして候補にのぼる。
(2)の方はといえば、宿泊予約数で20倍の差がある楽天トラベルとベストリザーブの業界におけるパワーが、そのまま等比級数的にバイイング・パワーにきいてくるため、『同じ戦略』ではこの実現は困難だろう。
ここでは、ベストリザーブの保有する『客室料金一部負担:パワーホテル』や、『価格比較サイト:モノリス』といった、短期的収益の面ではマイナスと思われるソリューション、ただしプロモーションをうまくすれば目玉になるものが重要になってくる。
これらのサービスをライブドアというポータル上で展開することにより、今までベストリザーブ単独では不可能だった顧客誘引を図ることが可能だ。これは楽天トラベルとの量的コンピートではなく、コンテンツによる質的差別化とブランディングで口コミの端緒となりうる良質な顧客層を確保し、それに見合った交渉力をもつことを指向することである。
その上でライブドアお得意のblogなどを利用したCtoCバイラルでカカクコム的なポジションを確保できれば、十分に採算はあう。つまり、ライブドアにとっては規模の追求よりも、独自色の強い商材でのビジネスと、コミュニティによるアーリーアダプタ層への訴求を図る戦略の方が、比較的難易度が低いのではないか。
・・・とはいえ、この戦略はすでに先述のカカクコムが実現している。大事なのは、差別化戦略がそのままニッチに流れてしまうのか、それとも王道への回り道であるのかという点だ。
参考:
カカクコム、ホテル予約サイト「yoyaQ.com」を譲り受け旅行分野に進出
カカクコム、旅行クチコミサイトを買収
個人的には、このような動きで先駆的顧客の心を掴み、旅行業界に風穴を開けて欲しいと思う。かつてこの業界に身を置いたことのある人間としては、本当にあの閉鎖的な、しかもオールドレガシーと新興ガリバーという二重の閉鎖性に閉ざされた世界を変革して欲しいと願うのだ。
そういうわけで、雑感はいろいろあるのだけれども、まずは応援しながら見守ってみたいと思います。
新規サービスは作り出さず買い取れだもんなぁ・・・。
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