ライブドアの話題で持ちきりで、六本木ヒルズも報道陣の黒山。
で、何が問題なのかよく分からないので、整理してみた。
・・・テレビを見ない人間なので、ひょっとするとニュース番組が分かりやすい解説してくれているのかも。←これ今日の前振り
■偽計
「偽計」って、金融犯罪用語なんですね・・・。知りませんでした。諸葛亮孔明みたい。
これはつまり、「自社出資の投資組合を通じ、すでに実質的子会社になっている会社をさも今買収したかのように告げ、『一粒で二度美味しい』アナウンス効果を狙った、ってことなんでしょうか?
Yahoo!ニュースより引用
関係者によると、ライブドアの関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM、当時バリュークリックジャパン)=東証マザーズ上場=は04年10月25日、出版社「マネーライフ社」を株式交換で子会社化すると発表した。しかし、マネーライフは、それ以前に、ライブドアが出資して実質支配する投資ファンド「VLMA2号投資事業組合」に既に買収されており、子会社化発表の際にこれを隠して、虚偽の事実を公表した「偽計」の疑いが持たれている。
■決算粉飾と風説の流布
これは単純に利益操作をやっちゃったという話。
Yahoo!ニュースより引用
関係者によると、旧バリュー社(04年3月に子会社、現在は関連会社)の粉飾決算に利用されたのは、ライブドアが完全子会社化すると04年9月3日に発表した結婚仲介サイト運営会社「キューズ・ネット」。同社の全株式を保有する「JMAMサルベージ1号投資事業組合」とライブドアの間で、同年10月12日に株式の交換が行われ、ライブドアの傘下に入った。
バリュー社は同年9月、株式交換が実行されていないために正式にはライブドアの子会社になっていなかったキューズ社の預金約1億円を、バリュー社の売り上げとして付け替え、売上高や経常利益などを水増しして計上。実際は赤字だったバリュー社の決算を黒字に粉飾した。
で、どこでライブドアが不正利益を得たかというと、
Yahoo!ニュースより引用
ライブドア関連会社「バリュークリックジャパン」(東京、現ライブドアマーケティング)の株をめぐる証券取引法違反事件で、ライブドア側が出版社「マネーライフ」(東京)を買収したのは、当初から株式交換に用いるバリュー社の新株発行の受け皿にするためだった疑いがあることが17日、関係者の話で分かった。
Yahoo!ニュースより引用
また、LDMはマ社を子会社化する際、1600株を新たに発行し、マ社株を100%保有する同投資事業組合との間で株式交換すると発表したが、実際に株式は交換されずにLDMに残り、市場で売却して資金調達した疑いも浮上している。
これを読んでも僕のおつむでは何が問題なのかやっぱりよく分からないので、時系列で整理してみると
・マ社はLDM株との株式交換で買収(実質支配下のファンドから)
・マ社の企業価値を高値で算定=LDM株を大量に発行
・ファンドに引き渡されるはずの株式は実際に引き渡されず、LDMが保有したまま売却
という条件の下で、
マ社買収の偽計 → LDM社の株価上昇?(その影響は僕にはよくわからん)
↓
LDM社の株式交換、投資組合向け新株発行 → 近日株式分割で急騰するLDMの新株を分割前に発行できた
↓
実際にはLDM株を投資組合に引き渡さず → ライブドアがいつでも売却できる?ってことなんでしょうか。ここのうまみがよくわからない。
↓
LDM社の株式百分割、 → 同社株価急騰、ライブドアは高値で売却
↓
実質資本配下の3社/組合間の情報・株式交換操作でライブドアが巨額(というほどでもないけれど)の利益を得る
おお、何となく分かった。違ってたらごめんなさい。ご指摘求む。
これ、インサイダーとかにはならないんでしょうか。証取法あたりにはとんと知識がないので見当つかないのだけれど、馬鹿なのですごい錬金術だなあと、ちょっと感心した。
今回はこの話の善悪や是非や信憑性についてうんぬんする前に、マスコミのはしゃぎっぷりに感動。これはあくまでも任意調査の段階であり、容疑にもとづく強制捜査ではない。このあたりについての冷静な感想はガ島通信のとおりだけれど、どこやら意趣返し、あるいは革命児への「叩き」が見え隠れすると思うのは僕だけなのだろうか。
(追記)
気になるのは、マスメディアの「中の人々」だ。電話で「逮捕」という言葉を使ってしまい、しかもその事を私に指摘されるまで気がつかない人もいれば、「ライブドアマーケティング」と「マネーライフ」の関係を、「ライブドア」と「ライブドアマーケティング」と勘違いしていた人までいた。実際家宅捜索に関しては、16:00に最初の報道が出てから一旦そういう事実がないということが判明し、その後実際の家宅捜査があったというフライングが起った事は磯崎さんが指摘しているとおりだ。
これだって立派な風説の流布なのではないか?
ある種の仮説と意図に基づいた報道、という部分には多くの人が気がついていて、で僕らの興味は「B層をこのニュースに乗せて、どこに運んでいきたいのか」というところ。新自由主義者の尻尾切りなのか、守旧派の逆襲なのか。「とりあえず」では前者に立って書いているけれど、そちらの方が力学的に納得しやすい。
(以上追記終わり)
日経新聞の今日の一面では「ライブドアは小口分割を繰り返し、若い個人投資家に人気」みたいなことが書いてあり、ついでに「その信用が失墜」と責任を問うていたのだが、僕は日経のほうら、と言わんばかりの論調とは逆に、実は目からウロコが落ちた。ほりえもんの真意が強欲か革命かは知りようがないが、数百円で1株から買える人気企業の存在、というのが、一般個人投資家を株式マーケットへ吸引するシンボルとしてどれだけ大きかったか、ということに遅まきながら気がついたのだ。
僕個人は、日本システムは銀行・郵便局経由での間接投資から、個々人がその使い道を決める直接投資へのパラダイムシフトが構造を改革するという議論におおむね同意しているのだが、その分かりやすい象徴が彼だ。・・・何を今さらと言われそうだけど、B層(苦笑)に対するイコンの影響力は、テレビあんまり見ない僕には体感できておりませんでした(苦笑)。
で、その彼を叩く。
リベラル・ブロガーの間では「ネオコンにマスコミ経由で操作されるB層」が日本をヤバい方向にもっていくんではないかと憂いた論調が盛んだったのだけれども、ほりえもんは自分が偶像になることで、B層を変える(まあ、現状ではあくまでも投資態度くらいだけど)行動をとり、刺された。なぁんて言えるのではないか。
このあたりは田中角栄の失脚にも似ている。田中角栄が志向したのは民族資本の独立と内需拡大によるアメリカ依存からの脱却だったが、見事にロッキードで潰えた。ついでに言えば、角栄もほりえもんも、変革への理想以上に、我欲が強すぎてリベラル層の全面的支持を得られなかったところも似ている(これはこれで面白いテーマだ。変革者の理想と強欲、なんてね)。
で、世に倦む日々だと「堀江貴文はネオコンから郵貯&NHK民営化で分け前をもらうはずだったのに、この段階で生贄にされた」という話になる。僕の上記の話もちょっとほりえもんを美化しすぎているのだけれど、これもこれで陰謀論めきすぎている気がしなくもない。論旨は全然違うけど、どうも話が屈曲するのが自称リベラリストの悪いところで、だからB層に受けないのかなぁ。
※トラックバックしようとブログサーチしてみたら、みんな「株が下がったどうしてくれる」「マスコミやりすぎ」「堀江ざまあみろ」しかなくて今ひとつ。んー。
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本文での紹介、TBいただきまして恐縮です。
実は私も昨日新聞を見て、どういう関係になってるのと思うと頭がごちゃごちゃしてきたところだったので、こういうまとめ方をしてある記事を見ると、助かります。
堀江さんの行動は難しくて、というより彼本人の考えと無関係の力があちこちから働いているみたいで本当のところは私にもまだまだわかっていません。ただ、時期が露骨かなあ、とも思います。
今後ともよろしくお願いいたします
おかげで、☆SPARKの日本株式型投資信託も大打撃です。(T_T)
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