ゲド戦記を見に行った。さんざん酷評されているので、まずはいいと思ったところを箇条書き。
・茫洋たるアースシー世界のテクスチュアは、冒頭の旅のシーンなどでよく描けていたのではないか。
・活字(原作)の重要なファクターである「影」を具現化していることは、原作から入った人間がさまざまに想像したそれに対して一種の結論になっている。
・・・いいところはこれくらいか。逆にどうかしら、と思ったのは
・原作を読んでいない人間にとっては、断片的なエピソードのパッチワーキングが冗長で散漫。
・ゲドの顔の傷、レバンネンの「親殺し」、テナーの過去、竜の存在、すべてが物語世界観にとって重要なファクターにもかかわらず、まったくその伏線がいかしきれていない。
・ゲドとレバンネンのどちらの物語にしたいのかよく分からない。二人を対比させるにしても中途半端。レバンネンにゲドの少年期のエピソードを入れたりしたせいで、ゲドの人物構築が薄っぺらい、
・あれだけのスタッフと外部協力を得て、あのレベルの作画とアニメーションかぁ・・・。
以上、原作を読んだ人間が「映像化された原作世界に興じるだけのおまけ」なら合格点だけど、作品単体としてはどうなのよ、というレベル。確かに、これはひどい。作品がひどいわりには楽しかったけれど、繰り返しになるが僕が原作を読んでいたからだろうな。