さて、今日こそはスノーケリングツアーに出かける日である。周辺のスポットをまわり、ギリ・メノに上陸するというプラン。ここは通称ギリ三島と呼ばれており、僕たちが滞在しているギリ・トラワンガンが最も賑やかな島、そしてギリ・メノが最も静かな島だという。もうひとつギリ・アイルという島があり、こちらはロンボク本島に近く、素朴なイスラム住民の島だという。ほんとうはこれらの島にもチャーターボートで遊びに行く予定だったけれど、結局このツアーでギリ・メノに寄っただけになった。
ツアーで使うボートは船底の一部がスケルトンになっていて、泳げない人でも珊瑚や熱帯魚が見られるというしかけ。とはいえ、こんな辺鄙なところでボートツアーに参加する客は、誰もが泳ぐ気満々で来ているのだ。僕らも当然泳ぐ。ボートに乗る際、フィンはツアーについていない、というかなりひどい回答をもらい、浜辺で慌ててレンタルしたフィンを履く。このフィンは10,000Rp.(=¥90)。こんな額なら、はじめから10,000Rp.上乗せしてでも手間のないようにしておいてほしいものだけれど、なぜそういう仕組みになっていないのか、理由がはっきりしない。
どこのスポットに潜っても、たくさんの熱帯魚ときれいなコーラルリーフに囲まれていて、わざわざ来たかいがあったというものだ。とはいえ、ギリ周辺の珊瑚は数年前のエルニーニョでだいぶ死滅してしまったとのこと。それでもこの美しさ。ギリでは珊瑚の保護育成のため、鉄網に微弱電流を流し、珊瑚の定着と育成をはかっているそうだ。少し深いところへ潜れば、あちこちに鉄網と、小さな珊瑚の赤ちゃんがくっついているのが見える。いつまでも、この取り組みが続き、美しい海が残ることを願う。
ギリ・メノでは、食堂で僕はナシゴレン、妻はミーゴレン、お互いにパイナップルジュースを頼む。これで72,000Rp.(=¥650)。日本の浜茶屋と同じで、こんなのんびりとしたところだからこそ、勘定は世知辛いリゾート価格。
半日のボートツアーを満喫し、いったんホテルに戻り、ノートパソコンを持って「Wifi Free!」と書かれた看板が目立つカフェに向かう。Wifiのパスワードは?と訊くと、「No problem!」と答えるのでパスワードはいらないのかな、と思うが接続を拒否される。もう一度パスワードは?と言うが、店員の答えは同じ。何がノープロブレムだ、と思い首をかしげていると、隣にいた西洋人が苦笑しながら、この店のWifiパスワードが「NOPROBLEM」なんだ、と教えてくれる。なんとまぎらわしいパスワードだ。カフェラテとジュースで41,000Rp.(=¥370)。ホテルのカフェから30秒歩いただけで、値段が半分になっている。
そろそろインドネシア料理にもシーフードにも飽きたので、今日の夕食は「漁師」という、バリに何店も支店がある日本料理屋がこんなトラワンガンくんだりにあるので、そこで寿司でも食おうとする。入ってみると、注文を取るのは遅い、取った注文は忘れる、そしてびっくりするくらいまずい、と、僕の海外旅行経験の中でもひどい食事五指に入る店だった。こんなところでにぎり寿司を夢見た僕があさはかだった、と後悔し、ホテルに戻る。
そして、なんだか熱っぽい。出立前のばたばた、結婚式や家族のアテンドからの解放、一気に疲れが体を襲ってきた。