1999/02/05 個性豊かな人たち

全身がだるい。
朝から屋上でだらだらと本を読む。西村寿行の「紅い鯱」。備え付けてあったから読んだのだけれども、今まで読んだことのある小説では文句無しにワーストの出来映えだった。
たまさかに猿が遊びにやってくる。牛だけでなく、猿の数も多い街だ。洗濯物を持ち去ったり、料理に手を出したりと傍若無人の困り者だ。

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近所の市場で果物を買い、みんなで食べる。バナナはさておき、黄色い皮の中に赤い粒々の入った奇妙な果物は、いまだに何だったのか分からない。味も評しがたい。

夕食はなんと「日本食レストラン」。かなりファンキーな醤油らしき味の中華丼を食べる。よくぞインドの食材でここまで再現した、とは思うが。

そして今夜も同宿のみんなと集合。
バラナシでずっと一緒に騒いでいたのは

ギター君
小さいバッグとギターだけを持ってインドへ。たまに歌を乗せて屋上でギターを弾いてくれる。

きんちゃん
僕と部屋をシェアしたおかげで、毎夜つきあわされる羽目に。毎日まじめにボディー・ペインティングの教室に通い、夜はいつだってその宿題に追われている。

クミコさん
バラナシで有名なあの人ではない。ビンテージの二眼レフカメラを所有している写真家の卵。おまけに美人。

少年
若干19にして、雪駄履きでカルカッタに降り立った強者。英語はほとんど出来ないが、それほど困ることもなさげに旅をしていた。クミコさんに惚れ、一生懸命覚えた単語で彼女を口説こうとしていた。「クミコさん、部屋をチェアしませんか?」。少年、それは椅子だ。僕らが教えたのは「シェア」だ。

キノコ君
マッシュルームカットというだけでキノコ君というあだ名を頂戴する。

空手家
もう訳の分からないあだ名。空手をしてると口を滑らせただけなのに。このメンバーでは唯一の硬派だった。

こんな感じで、適当にあだ名を付けて呼び合っていた。ちなみに僕は「オウム君」なるありがたくない称号を頂戴する。インド服がオウム真理教みたいだって。とほほ。

と、真夜中に市内が停電し、屋上からは綺麗な星空が見えた。感動した僕、きんちゃん、ギター君は、それにかこつけて同宿の女子大生(しかもおあつらえ向きに三人組だ)を呼び出して、しばし星を眺めながら語らいのひととき。問題はギター君で、少々酔っぱらいのご様子。おかげで話は進展するどころか、彼の介抱で精一杯。

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