直感と情報

旅が好きで、よくアジアに出かける。大学一年の時に東南アジアを周遊して以来、私はアジアの匂いの虜だ、といっても過言ではない。

数年前にインドネシアに旅行したことがある。貧乏旅行だったので、市バスを乗り継いでジャカルタ市内をうろついていた。綺麗なビルがあるな、と思えばそれはたいてい銀行のオフィスで、僕は「おお、さすが急成長をとげるアジアの首都都市、間接金融の果たす役割はさぞ高度成長期の日本と変わりないのだろう」と思ったものだった。バブル崩壊で失われた金融セクターの威信が、まだこの地には聳え立っている。
・・・と思ったら、ご存知の通り数年後には例のアジア通貨危機であり、インドネシアの銀行も次々経営危機に陥った。あの恐慌騒ぎの原因が単純にバブル崩壊だとは思わないけれども、しかし日本のバブル期にも似た状況があったのも確かなようだ。

結局のところ、僕はなかなか良いところに目を付けながらも、肝心の結論はまるで的外れであったわけだ。
僕は自分の直感を信じることにしているが、いくら鋭いそれがあろうとも、必要な辺縁情報が不足していたら何の役にも立たないように思う。喩えてみるならば、直感とは瞬発力、蓄積された情報がエネルギーみたいなもんだ。

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