熱狂の終わりと始まり 総選挙2005

自民党が大勝。公明党と合わせれば衆院3分の2を確保したことになり、参議院がどうであれ郵政民営化法案が可決できる見通しが立った。

実は3分の2越えで憲法改正が視野に入ってきた。ほんとうはこちらのほうがエフェクトとしては、むろん、大きい。自公の参議院の議席比率は3分の2以下だけれども、一応日本国憲法には

第59条
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

と書いてある。憲法改正発議が59条に該当するのかどうか知らないけれど、次は自民党の改憲案を公明党が呑むかどうかが焦眉となる。仮に公明党が賛成しなくとも、場合によっては憲法改正をめぐって民主党が割れるだろう。

また小泉政権はブッシュドクトリン追随が明確であり、政治的にも経済的にもより新自由主義的な傾向に舵を取ることになるだろう。憲法改正とネオコン追随を日本国民が(おそらく意識することなく)承認したという事実は歴然としていて、ひょっとするとこの総選挙は93年の自民下野以上のモメンタムになるのかもしれないという『危惧』がある。

政治:憲法改正
経済:新自由主義
外交:ブッシュドクトリン追随のタカ派外交

まとめるとこんなところか。・・・本気でこんなリスキーな選択肢を、日本国民は是としたのだ。結局、小泉首相の劇場型政治が国民に表面的な熱狂をもたらすことに成功したのだろう。ポピュリズムを目の当たりにして、日本のリベラリストは愕然としたに違いない。

正確に数えたわけではないけれど、選挙の当確速報を見ていると、結構民主党は僅差で負けている。中選挙区制や比例代表制であれば、ここまでの差がつかなかったに違いない。
つまり、小選挙区+ポピュリズム=熱狂の地滑り勝利、ということになり、小選挙区制導入にはじまるこの10年は、まるでワイマール末期のようなものだったのではないか、と思わないでもない。

そして当然メディアはこういうことをあんまり書かないので、劇場の熱演に満足した観衆は、さらに危険な熱狂に向かうことだってあり得る。ポピュリズムとはそういうものなのだ。
以上、杞憂に終わればいいのだけれども。

■参考
総選挙投開票テレビとともに(あいとポッポパーティー)
【衆院選】あーあ、政権交代の絶好のチャンスだったんだけどな(あさってのほうこうBlog)
[政治]衆院選自民圧勝、単独300・自公合わせて320以上の可能性も(Memorin’s Memo)
危機感と反省@総選挙。(tommosblog)
自民圧勝でくる新しい現実に対応するために(ツキモトユタカ ノ マイニチ)

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5 Responses to 熱狂の終わりと始まり 総選挙2005

  1. ピンバック: ツキモトユタカ ノ マイニチ

  2. ピンバック: そぞろ日記

  3. asatte_no_houkou のコメント:

    TBありがとうございます。
    疎外感を抱く中間層が寂しさを埋め合わせるために国粋的なものに走り、ファシズムに至るとうのは典型的なパターンですからね。まあ、仰るとおり、杞憂に終わればいいのですけど・・・

    憲法改正の発議については59条2項は適用されず、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要ですから、与党だけでの発議はないですよ。
    僕は憲法改正には賛成ですが、国粋的な内容の改正には反対です。
    公明党や民主党には歯止めとしての役割を期待したいところですね。

  4. tom のコメント:

    TB、リンクありがとうございます。

    憲法改正については、明後日の方向さんと重複しますが、

    以下引用
    「日本国憲法 第96条1項
    この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

    衆院、参院併せて、さらに欠席議員も含めて全議員の3分の2の賛成が発議の条件なので、今のところは与党だけでは無理ですね。
    個人的には憲法改正についてはまだちょっと態度を決めかねてるんですけどね。。。。

    得票数にしても、小選挙区では自民は民主の1.3倍しか得票はしていないそうですが、あれだけの大差がついたようです。うーん、小選挙区、なんか諸刃の剣ですね。
    死票の数は相当みたいですよ。

  5. ピンバック: おれ雑exclusive

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