プロ野球参戦と二番手企業の角逐

プロ野球参戦と二番手企業の角逐何かと騒がれたライブドアのプロ野球参入ですが、ついに楽天も参戦。
そして今日のYahoo!ニュースでは

楽天、新球団の本拠地を宮城に ライブドアとの競合辞さず

プロ野球への新規参入を表明していたインターネット関連企業の楽天は22日、新球団の本拠地を宮城県として、申請することを明らかにした。

(中略)

 楽天とともに新規参入を希望し、宮城を本拠地とする新球団の参入の申請をしているライブドアと競合することについては、「早い者勝ちではない。1地域に2球団は難しい。6球団と5球団ではやりづらいが、6球団と7球団になってもやりづらい。競争となるかもしれないが、これは宮城県の方たちに判断してもらうこと。われわれとしては自分の思ったことをしゅくしゅくとやっていく」とコメント。

楽天、ライブドアが随分以前から参入時のフラインチャイズ地として名乗りを上げていた仙台へ殴り込み。ほんの数ヶ月前には「プロ野球には興味がない」とコメントした三木谷社長だけに、言い分をそのまま受け入れたものかどうか疑問ではある。

この2社が本気で球団を所有したいかどうかという点はさておき、プロ野球球団を保有することの直接的なメリットはプロモーション戦略上、かなり広範、安価に知名度を高められる点であり、間接的にはエンタメ・コンテンツの確保だろう。何だか主客転倒している気もするけれど。

楽天がデジタルコンテンツ分野(電子書籍などには手を出しはじめているが)へ、本格的に乗り出すかどうかはさておいて、ダイエーホークスの成功にみられるとおり、ショッピング事業での付加価値として、スポーツチームの保有はまだメリットがみえる。楽天のM&A戦略や、アフィリエイトに代表される顧客流入経路の整備を考えると、伸び悩みがみえる「店貸しモデル」から、楽天がイニシアティブをとっての自前路線展開への転回を志向しており、その成就にかなり好影響を与えるだろう。

一方のライブドアは、自社の「livedoor ニュース」やオンデマンド配信への力の入れようをみる限り、コンテンツとしての魅力を買ったといえるだろう。同時に、M&Aによるシナジー効果が楽天ほど明確になっていない中で、企業ブランドのコアとして球団を保有し、またそれよりも、ヤフー・楽天の二強に比べかなり劣るコンシューマ認知度を短期間で向上させられる可能性、という魅力はやはり大きい。

以上直感的にではあるけれど、純粋なメリットを考えてみると、楽天よりはライブドアの方が、より球団保有のインセンティブが高いのではないだろうか。

で、楽天の参戦である。

現状、楽天のインダストリアル・ポジショニングはそう悪くない。EC事業で圧倒的なシェアを誇り、旅行分野では日立造船から「旅の窓口(現:楽天トラベル)」を買収したことで国内ネット宿泊市場のシェア7割を確保、楽天証券もそれなりに健闘している。証券に加え、あおぞらカードの買収などで金融分野への進出を図り、流通と金融(ひょっとするとあとは物流か、でも利益率の低いモルタル事業に手を出すかは微妙)を合わせたネット・マーチャントへの脱皮はかなりの確率で成功するだろう。

ただ、楽天の問題は逆に「あまりにも明確な事業ドメイン」にあるのではないかと、いささかの皮肉を込めて思う。全方位展開型のヤフーはさておき、コミュニティ・ブログ・コンテンツ配信と、着実(笑)にメディア・カンパニーへの道を歩むライブドアが、ひょっとすると“安泰”であった2番手企業の座を突き崩すかもしれない可能性が、わずかではあるがみえてきた。
今後のネット業界は「誰が情報の流入を制するか」「マス・プロモーションでは捕捉できないP2P型のコミュニケーションに、誰が楔を打ち込むか」という点が焦眉となっていく中で、ある意味では旧来型のリーズナブルな進化を遂げる楽天の事業ビジョンが、そう簡単に思惑どおり運ぶのかどうか。
楽天にとってはとにかく認知度を上げ、己の事業ビジョンの継続のためにも、ここでライブドアに一般消費者への浸透で後塵を拝することがあってはならない。

その文脈では、明らかに今回の楽天のアクションは『ライブドア潰し』に目的があることが透けてみえる。
この勝負どちらが勝つのか分からないけれど、三木谷社長が勝算の全くないドッグ・ファイトに乗り込むとは考えにくい。独断と偏見だけれども、既に根回しに入っていてもおかしくない状況だ。そして数ヶ月後に「企業の安定性や社長の卓見を総合的に判断し、楽天の新規加盟を承認」というコミッショナー声明が流れたりしてね。個人的に堀江社長が好きなわけではないけれども、もしそうなったら、僕はやっぱりライブドアを応援したいものだ。心情的には。

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とりあえずジャケットを羽織ったほりえもん。ネクタイを締めずに開襟しているのは、せめてもの意地でしょうか。

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いつの間にかヒゲを剃り落とした三木谷社長。
・・・しっかりライバルの叩かれ方を意識してますね。このあたりは良くも悪くも、オトナです。

よってコミッショナー声明は以下のように変更して予言しておきます。

「企業の安定性や社長の卓見と服装を総合的に判断し、楽天の新規加盟を承認」

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プロ野球参戦と二番手企業の角逐 への5件のフィードバック

  1. かけうし のコメント:

     ゆえあって名前は明かせませんが、著者には分かってもらえるでしょう。

    私の周りの消息筋によると、オリックス宮内氏と楽天三木谷氏がツーツーで、堀江氏をそそのかしたとか。

    堀江氏もそそのかされるような人ではないですが、堀江氏の会社の政策的に、株価が上がればそれでよいので、どう転んでもよいようにしたとか。

    ライブドア名前を売って退場>世論の状況で楽天もしくはオリックスが後を引き継ぐ
    という構図ですね。

    なので、ライブドアと楽天がガチンコで勝負することはなく、それぞれに実をえることになるということだそうです。

    まあ、どこまで本当か分かりませんが。

    私自身は、確かにライブドアは一般消費者へ知名度を上げたと思いますけど、その前に一般消費者に何を売るのかがいまだによく分からないです。
    「株」といっているようですが、まさか本気ではあるまいに・・・

    マス手法とP2Pはまた今度に。

  2. 裸の王様 のコメント:

     良い読みだと思います。
    企業が所有し、ギルド的共同体を維持し、利益の極大化を図りたいとする読売と西武とオリックスとそれらに追随するアンシャンレジューム企業連合の欲望が透けて見える最近の展開です。
    渡辺氏、堤氏、宮内氏は見せかけの改革路線を後押しする小泉取り巻き茶坊主連合でもあることでしょう。
    野球という市民文化であり市民共有財産であるものを、企業利益の支配下におきたいという、いわば日本的「会社社会」は破壊されなければならないと考えます。
    市民や自治体そして地場企業に支えられて、野球チームによる自主・自尊・独立路線が出来上がれば、正岡子規の目指した野球に少しは近づくでしょう。
    思い出されるのは、Jリーグにおける読売ベルデイが「読売」をはずすことに激しく抵抗した一件です。「読売巨人軍」というアナクロ的チーム名に何の不思議さも感じない日本社会が、その在り方を問われているとも考えます。
      東京・ヤフー・ジャイアンツにチーム名が変われば、少しは面白くなるのではないでしょうか。(*^_^*)

  3. ピンバック: おとこのおばさん

  4. 森島 のコメント:

    > 私の周りの消息筋によると、オリックス宮内氏と楽天三木谷氏がツーツーで、堀江氏をそそのかしたとか。

    こんにちは。どなた様か察しがつきましたw
    ライブドアの企業体力で、本気で球団所有は荷が重いでしょうね。口先ひとつでこれだけ知名度を上げられ株価にも好影響だったら、じゅうぶんかもしれません。「若き異端児」という、堀江氏の好みそうな称号も得られたことだし。

    > 企業が所有し、ギルド的共同体を維持し、利益の極大化を図りたいとする読売と西武とオリックスとそれらに追随するアンシャンレジューム企業連合の欲望が透けて見える最近の展開です。

    これが利益の極大化につながると、本気で思っている彼らの姿勢こそ、ほんとうに片腹痛いですね。
    中長期的にみれば、地域密着運営、すそ野の拡大を目的として球団数の増加とエンタメ性の向上を図り、コンテンツとしての魅力を増していくべきだと思うんですが。びっくりするくらい、今の十代・二十代が野球から離れてしまっていることに、気づいているんでしょうか。

  5. ピンバック: ★ラーメン占い blog★

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