さて、本文においても森島姓の由来を取り上げたのだが、新たに森島姓について判明したこともあった。
森島(もりしま):
平氏姓、大和の名族。あるいは中原有家の後裔。美濃・尾張に多数。
出典は失念したが、以上の文章を発見できた。
まず最初の「平氏姓」についてであるが、これはいわゆる「源平藤橘(げんぺいとうきつ)」と通 称される有名氏族の一つの連枝である、ということだけなので、さしあたってルーツを特定する手がかりにはならない。平氏の中でも有名なのは桓武平氏(平清盛などがその系統)であるが、この他にも仁明平氏、文徳平氏、光孝平氏の4系統が存在していることも特定を困難にしている。
全ての平氏はもともと皇族の出自であるが、そののちに地方で自立していくものも多かった。先ほど例に挙げた平清盛は、もともと伊勢で勢力があった伊勢平氏の流れである。我が家の先祖が平氏一門であったとするならば、大和に土着したものがそのルーツであったのだろう。ちなみに平氏姓が創設されたのは8~9世紀であるので、森島姓の創始はそれ以後であろうと推測できる。
もう一つの中原有家をその祖とする伝承についてであるが、もともと中原氏は大和は十市郡の出身であり、学問を管轄する博士家である。中原姓を天皇より賜ったのは10世紀後半である。中原有家、というのがどのような人物であるかについては、残念ながら資料がないが、分家したのは早くとも10世紀~11世紀であることがここから推察できる。
ここで、本文に記述した伝承をもう一度まとめてみよう。
壬申の乱(672年)の敗者となり、落ち武者のようなかたちで美濃の国に土着した。
ということであったのだが、新しく分かった2つのルーツのいずれにしても、その始まりは壬申の乱のはるか後である。ここにきて「森島姓の由来」はさっぱり分からなくなってしまった。このあたりで、森島姓の探求についてはいったん筆を置くこととしよう。