旅が好きなので、旅行記をよく読む。この分野ほど当たり外れの大きい本というのも少ないのではないか。
紀行好きに言わせれば、やはり海外作品だということになるのだが、どうも受け付けない。アメリカ人ものが特にひどい。文章はさておき、合間に挟まれるくだらん冗句やエスプリがどうも肌に合わない。紀行文は風土の紹介というより、「旅人の主観」の記述なので、メンタリティーが似た人のものほどはまりこみやすい。
最近読んだ中で面白かったのは、前川健一の「アジアの路上で溜息ひとつ」だ。文章の上手な旅行作家が少ない中で、かなり読ませる。
正確に言うと、「文章の上手な『バックパッカー』作家」が少ないというべきだろう。香港で買い物したとかニューヨークでジャズ聴いたとかの旅行記の何が面白いのかと思うが、下手くそな筆でつづられた貧乏旅行というのも、これはこれで辛い。
テレビを見ていたら、和製英語の功罪についてディスカッションをしていた。デヴィ夫人が「GETという言葉を皆さん使われますけど、どうして『獲得』とちゃんと言えないのか、と思いますよ」とのたもうていた。獲得だってもとは中国語じゃないかなあ、と思ったけれど。
わかりやすい解決という、平板なカタルシスのためのテレビ番組。そういうツッコミは必要ないんだろう、たぶん。